「もはや官の調整レベル」と言われたダビング10が急展開を迎えた。6月19日に開かれた総務省の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」(デジコン委員会)にて、補償金の議論とはいったん切り離す形で、7月5日前後にダビング10をスタートさせる方針が確認されたのである。 本来ならば6月2日スタートの予定だったダビング10だったが、録音録画補償金での折り合いが付かず、とん挫してしまっていた。メーカーと権利者団体が合意の上で決まったはずのダビング10なのに、なぜ官が出てきて調整しなければならないほどこじれてしまったのだろう。 ダビング10、そして録音録画補償金の議論の流れについては、過去本コラムで何度となく取り上げてきた。ざっくりと主観を交えて言い表わすと、 ダビング10 ムーブに失敗するなどの不満が高まり、総務省主導の元で放送のコピーワンス規制緩和策を検討。最初はEPNで検討という話
西田宗千佳の ― RandomTracking ― ようやく実現した「Vistaのネイティブ地デジサポート」 −「遅れた原因」と「狙い」から考える日本のテレビ事情 6月13日、マイクロソフトはWindows VistaのMedia Center機能を使った、地デジのネイティブサポートに関する会見を行なった。5月のビル・ゲイツ氏来日の際に公開時期が明示され、期待も高まっていたことから、会見にはたくさんの報道関係者が集まった。 だが、会見後の会場の雰囲気は、期待半分、落胆半分、といった印象だった。理由は、Media Centerでの地デジ機能が提供されるのは「メーカーから出荷されるPCのみ」で、すでにVistaを持っているユーザーや自作ユーザーに対しては提供されないからである。 時間はかかったものの、周辺機器による「地デジ拡張」は、すでに5月より解禁になっている。それにも関わらず
「どのメーカーの技術者も一度は考えたと思いますよ。ただねぇ,実際に製品として出すためにはいろいろ…,あるんですよねぇ」。 先日,同僚のT記者を誘って「SPIDER PRO」という録画機器を開発・販売しているPTPというベンチャー企業の取材に行ってきました。代表取締役社長の有吉昌康氏と,ソフトウエア開発を担当する取締役の籠屋健氏にお話しを伺って,機器のデモを見せてもらったらこれが実に面白い。あんまり面白いので,長文のWeb記事をT記者に素早くまとめてもらって(自分でもずいぶん加筆して),先日公開しました(「1週間全チャンネル録画機「SPIDER PRO」を作った理由」(Tech-On!),前編,後編)。 きちんと伝わったかどうか一抹の不安がありますが,SPIDER PROでいちばん面白いと思ったのは,テレビの視聴体験が劇的に変わる点です。大げさに言うと,テレビに「自由」と「発見」を導入するの
法政大学 社会学部 准教授の白田秀彰氏に会ってきた。日経エレクトロニクスの2007年12月17日号に掲載したインタビュー「法は単なる調整手段,技術者は自由に進め」のためである(Tech-On!に転載したインタビューの全文)。 白田氏は著作権の研究者であり,10月に設立された「MiAU(インターネット先進ユーザーの会,同会のWebサイトへのリンク)」の発起人の一人を務めたり,それ以前から「ロージナ茶会」という著作権の私的研究会を作るなど,「ネットユーザー寄り」の立場を取る法学者として知られる人物である。「電子技術者が読む雑誌のインタビュー」ということで,入念な準備をしていただいたようで,熱のこもったお話しをうかがっているうちに,あっという間に4時間近くたっていた。 白田氏のお話しはそれこそ,目から鱗がボロボロ落ちるような刺激に満ちたものだった。その中でも個人的に印象に残ったのが,著作権が新技
今年7月に総務省情報通信委員会の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」(以下 デジコン委員会)で、デジタル放送の著作権管理について、COG(Copy One Generation)の延長のままで9回ダビング+1回ムーブという方針が示された。いわゆるこれが、「ダビング10」である。 このネーミングはJEITAが後日名付けたものだが、この10月のJEITAの発表には驚いた。JEITAはこれまで1年以上頑ななまでにEPN方式で押してきたわけだが、総務省情報通信委員会での方針が決まったとたん、わずか1カ月ちょっとでEPN方式を放棄し、COG延長路線であるダビング10に乗り換えて推進するというのである。 以前掲載された椎名和夫氏との対談でも確認できるように、ダビング10という方針は、あくまでも暫定合意でしかない(→対談:小寺信良×椎名和夫(2)「四方一両損」を目指した議論は何故、ね
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