この記事は Chrome プロダクト シニア ディレクター、Ben Galbraith による Chromium Blog の記事 "Building a Better World Wide Web" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。


Google では、ユーザー エクスペリエンスがあらゆることの中核に据えられており、プロダクトに関する意思決定や開発、方向性に影響を与えています。Chrome には、ポップアップ ウィンドウをブロックするページに不正なソフトウェアが含まれている場合に警告するなど、長きにわたり悩ましく有害な体験からユーザーを守ってきたという歴史があります。

オンライン体験を損なう特定のタイプの広告は、Chrome ユーザーに共通する不満となっていますが、そのような広告から Chrome ユーザーを守るための対策もとってきました。たとえば昨年より、北米とヨーロッパのサイトで、業界基準に違反して繰り返し表示され、ウェブサイトを訪れる人々の邪魔になっている広告のフィルタリングを始めています。さらに、Google の広告プラットフォームでは、基準に違反しており、Chrome ユーザーの悩みの種となっている広告の販売を停止しています。

Chrome で広告をフィルタリングするウェブサイトを決めるにあたっては、Better Ads Standards(優良広告基準)に従いました。この基準は、ウェブ広告エクスペリエンスの改善を目的とした業界団体 Coalition for Better Ads(優良広告連合)が世界中の 66,000 人を超えるユーザーからのフィードバックに基づいて作成したものです。ここでは、ユーザーが煩わしいと感じるため、広告主やサイト運営者、テクノロジー ベンダーが表示すべきでない 12 種類の広告が定められています。

現在の Better Ads Standards には、ユーザーを特に悩ませていることがわかった 12 種類の広告エクスペリエンスが定められている。イメージの出典: Coalition for Better Ads

本日 Coalition for Better Ads は、最初の Better Ads Standards を北米とヨーロッパ以外にも拡大し、世界のすべての国を対象とすることを発表しました。それを受けて、Chrome も 2019 年 7 月 9 日からユーザー保護を拡大し、どの国においても、煩わしい広告を繰り返し表示しているサイトですべての広告を表示しなくなります。

ウェブサイトの所有者への影響

広告を表示するウェブサイトを運営している方は、広告に関する問題レポートでサイトのステータスを確認することを検討してください。このツールを使うと、Chrome が違反とみなす広告エクスペリエンスがあるかどうかを、サイト運営者が確認できます。本日より(元記事掲載当時)、北米とヨーロッパ以外のリージョンのサイト運営者も、このツールを使えるようになりました。サイト上の煩わしい広告エクスペリエンスの有無やサイトの現在のステータス(合格 / 問題なしまたは不合格)を確認し、主な問題を解決したり、レビューに対する異議を送信できます。Google は既に世界中の数百万のサイトをレビューしていますが、今後もそのレビューを拡大してゆく予定です。


広告に関する問題レポートの概要。

米国、カナダ、ヨーロッパでの先行結果

私たちの最終目的は、広告をフィルタリングすることではなく、すべての場所であらゆる人にとって優れたウェブを構築することです。Chrome が Coalition の基準を強制することで、多くのウェブサイトの所有者は、自分のサイトでユーザーにとって快適な広告エクスペリエンスを提供するように改善を促されることになります。米国、カナダ、ヨーロッパでは、ウェブサイトの所有者は自分のサイトの広告をうまく変更してくれました。2019 年 1 月 1 日現在、かつては Better Ads Standards を満たしていなかったサイト運営者の 3 分の 2 が良好な状態になっています。さらに、これまで Google がレビューしてきた数百万のサイトで、広告がフィルタリングされたのは 1% 未満に過ぎません。

私たちは、これからも業界と連携しつつ、最高のユーザー エクスペリエンスだけで構成され、活気があり、優れたウェブ エコシステムを構築したいと考えています。ウェブは毎日の生活に不可欠な存在です。今後も最高のユーザー エクスペリエンスを提供し続けてまいります。

詳細については、こちらの Coalition のサイトをご覧ください。

投稿者: Chrome プロダクト シニア ディレクター、Ben Galbraith

Reviewed by Eiji Kitamura - Developer Relations Team