スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2025年のノーベル化学賞を京都大学の北川進特別教授(74)ら3氏に授与すると発表した。狙った物質を内部にとじ込められる「金属有機構造体(MOF)」の研究が、脱炭素や有害物の除去など幅広い産業の発展に寄与することが評価された。(号外)ノーベル化学賞に北川進氏ら日本出身の自然科学分野のノーベル賞受賞は、25年の生理学・医学賞の受賞が決まった大阪大学の坂口志
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター 法科学研究グループの渡邊 慎平 研究員、瀬戸 康雄 グループディレクターらの研究チームは、「大麻グミ」「大麻リキッド」などの危険ドラッグ製品に含まれる規制薬物とそれらの類似薬物が、ヒトの肝臓由来の酵素の働きによりどのような代謝物に変化するかを解明しました。 今回、研究チームは、ヒト肝ミクロソーム(ヒトの肝臓由来の酵素を含む顆粒体)を用いて、近年の危険ドラッグ製品に含まれる一連の包括規制薬物(わずかな化学構造のみが異なる同一の基本骨格を有する規制薬物)と類似薬物計18種類に対して、それぞれの主要な代謝物を特定するとともに、それらの化学構造の違いに応じた代謝パターンを明らかにしました。また、協力機関により得られた「大麻リキッド」製品使用者の尿サンプルデータとの比較から、ドラッグ自体は未検出であったところ、ヒト肝ミクロソームにより生成されたものと同一の
カーボンナノリングやナノグラフェン合成の世界的トップランナー、伊丹 健一郎 主任研究員。「週刊伊丹」と言ってもよいほど、プレスリリースを頻繁に出す活発な研究室を主宰しています。有機化学系の研究室でありながら昆虫を飼育して体内でナノカーボンを合成させたり、不可能だったオールアジンナノリング合成に成功したりするなど、画期的な成果を相次いで発表しました。豊かな発想の源泉はどこにあるのでしょうか。 苦手をワクワクに変えた出会い 唯一無二の分子をつくり出し、その分子を活躍させる。それが伊丹研のテーマだ。「世の中に存在しない新しい分子をつくることはロマンに満ちていて、ワクワクします」 高校3年のとき、暗記ばかりで苦手だった化学で有機化学を学び、六つの炭素原子が正六角形の環状に結合したベンゼン環に出合った。「ベンゼン環は薬品、染料、プラスチック材料などいろいろなものになります。幼稚園のころから、小さなブ
スポットライトリサーチ ミツバチに付くダニに効く化学物質の研究開発のはなし 2024/6/6 スポットライトリサーチ, 化学者のつぶやき コメント: 0 投稿者: Tshozo 今回は東京大学大学院有機化学研究室 滝川 浩郷先生、小倉 由資先生が主導されている研究内容につき、スポットライトリサーチ(第618回)という形でご紹介いたします。 きっかけはミツバチヘギイタダニ(Varror Destructor)の記事作成後、美味しい蜂蜜が継続的に喰えんようになるのは困るなぁ、何とかこの分野の研究が進んでいないかと思って調査をしていたところ、一昨年に小倉先生が関連論文を発表されていたのを見つけスタッフ内でのご関係をたどり、ヒアリングさせていただいたわけです。そこで今回は小倉先生のご承諾を得たうえで、先生の研究背景と位置づけについて私が簡単に記載したのちに、スポットライトリサーチ形式でご紹介してま
植物のタンパク質にレーザーで刺激を与え、その結果起こるプロセスをX線で捉えることによって、科学者らは光合成反応に未知の段階が存在することを発見した。画像はX線で透視したハグマノキの葉。(IMAGE BY NICK VEASEY, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 光合成は地球の生命にとって不可欠だ。生態系の基礎をになう植物は、これによって自らの栄養を得ている。しかし、光合成がどのような仕組みで行われているのかについては、まだ正確にはわかっていない。 今回、ふたつの新たな実験によって、光合成の中でも特に難しい反応のひとつである水の分解における謎の一端が明らかになった。 水の分子が分解されると、酸素が空気中に放出される。「われわれ全員が依存している、あらゆる高等生物にとって不可欠な酸素は、まさに光合成の副産物なのです」と語るのは、米ローレンス・バークレー国立研究所の化学者で、ひとつ
微隕石とは聞きなれない言葉ですが、宇宙空間から地上に降ってくる微小な物質のことで、その正体の多くは「小惑星」のかけらです。 小惑星! それなら聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。 JAXAが打ち上げて世界的なニュースになった探査機ハヤブサが到達した「イトカワ」は小惑星のひとつです。ハヤブサ2が目指している「リュウグウ」もそうですね。ハヤブサとハヤブサ2はともに小惑星のかけらを持ち帰るミッションを担っていましたが、この本があれば、わたしたちも身近な場所で、かれらのミッションを共有できるかもしれません。 身近にあるとわかっていながら、地球由来の似た形の物質にまぎれて分離が不可能と言われてきた微隕石の数々をとくとご覧あれ! 本書の特徴 小惑星探査機ハヤブサが持ち帰り、 ハヤブサ2が持ち帰ろうとしている 「星のかけら」を集めた ビジュアルガイド 著者が新しく発見した微隕石、 微隕石
■毎日やってくるインド人のオススメ商品 ティラキタには毎日のように、インド、タイ、ベトナムなどの取引先から新製品のお知らせが届きます。新製品とは言っても、彼らが彼らの売りたいものの写真を送ってくれる一方通行的な営業なので、オススメの100個中、1個しか仕入れられるものがないのですが。 いや、100個中1個あればまだいい方かな。 300個中1個かもしれないな。 彼らは日本で何が売れるか、僕らが何を欲しがっているかを知らないので、とりあえず何でも写真を送ってきます。 ここ最近の実例を挙げてみると… すごい素敵な雰囲気のクルタパジャマ、カップルセット。 服はインドなのに後ろの国旗はなぜか英国。僕らと同じ様に、インド人たちもヨーロッパに憧れがあるんですかね。 吠えているトラさんの絵がバッチリと描かれた洗面台。この洗面台を自宅に設置して、毎日、起きた時に見るのはちょっとどうかと思いますね。 孔雀のデ
ビールは昔から多くの人々に愛されてきました。 特にドイツはビールの本場として知られており、その愛情の深さはかなりのものです。 そして最近、ドイツ・ミュンヘン工科大学(TUM)に所属する分析化学者フィリップ・シュミット・コップリン氏ら研究チームは、467種類のビールを高度な質量分析技術により解析。 これにより発見された数万の分子は、化学データベースに記載されていない「未知の分子」でした。 研究の詳細は、7月20日付の科学誌『Frontiers in Chemistry』に掲載されています。 Scientists Detect Tens of Thousands of Different Molecules in Beer – 80% Not Yet Described in Chemical Databases https://scitechdaily.com/scientists-dete
二酸化炭素の化学固定化に寄与する脱水剤を使用しない触媒プロセスを新たに開発 大阪市立大学人工光合成研究センター 田村正純准教授、東北大学大学院工学研究科応用化学専攻 冨重圭一教授、日本製鉄株式会社先端技術研究所 中尾憲治課長らは、脱水剤を用いずに、常圧二酸化炭素とジオールから脂肪族ポリカーボネートジオールの直接合成を行なう触媒プロセスの開発に世界で初めて成功し、酸化セリウム触媒を組み合わせることで、高収率かつ高選択率で脂肪族ポリカーボネートジオールを合成できることを学会誌「Green Chemistry」上で発表した。 ポリカーボネートジオールは、プラスチックに代表されるポリウレタン合成の重要中間体であり、現在、ホスゲンや一酸化炭素を原料にして合成されているが、これら原料は有毒なため、グリーンケミストリーの観点から原料を代替する技術の開発が求められている。 代替原料に二酸化炭素を用い、ジオ
硝酸アンモニウム(しょうさんアンモニウム、英語: ammonium nitrate)とは、化学式NH4NO3で表される化合物であり、アンモニウムおよび硝酸塩のイオンから成っている白い結晶の固体である。硝安とも呼ばれる。 水和物を形作らないが、固体は吸湿性であり、また水溶性が高い。主に高窒素肥料として農業で使用されている[1]。世界の生産量は、2017年に21.6百万トンと推定された。 その他の主な用途は、鉱業、採石、土木建設で使用される爆発性混合物の成分として使用される。ANFOの主要な構成要素であり、北米で使用される爆発物の8割を占める、普及した産業用爆発物である。また同じような調合は、IEDでも使用されてきた。 多くの地域では、誤用の可能性に対する懸念から、消費者向け用途での使用を段階的に廃止している[1]。20世紀初頭以来、偶然による硝酸アンモニウムの爆発のために何千人もの人々が命を
偶然生まれた美しい青の顔料、赤外線反射で建物を涼しく保つ塗料に2019.12.24 10:0083,689 岡本玄介 青顔料史上200年ぶりの新色。 さかのぼること2009年。オレゴン州立大学で電子工学に関連した実験を行なっていたとき、黒色酸化マンガンをその他の化合物と混ぜ、およそ1,200度で熱したところ、偶然にも美しい青色の顔料が生まれました。 これは従来の青い顔料のような毒性を持たず、耐久性もあり、赤外線を反射するので建物の中を涼しく保つのに使える塗料になる、とIFLSCIENCE! が伝えています。 元素記号を冠した青色その塗料の名前は「YInMnブルー」。由来はイットリウムのY、インジウムのIn、マンガンのMnといった元素記号で、これが生まれたのは、科学者マス・サブラマニアン教授のチームにいた院生による、ちょっとした配合間違いが原因でした。 オレゴン州立大学のサイトによれば、教授
近年注目を集める「分子ナノカーボン科学」 グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノメートルサイズの周期性をもつ炭素物質は「ナノカーボン」と呼ばれ、軽量で高機能な次世代材料として期待されている物質です。構造によって電子的・機械的性質に大きな違いがあるため、望みの性質をもつナノカーボン構造のみを狙って精密に合成する方法が求められています。 そのなかで、ナノカーボンの部分構造をもつ分子を有機合成によって精密に合成する「分子ナノカーボン科学」が近年注目され、世界中で研究されています。これまでに、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブの部分構造となる分子(分子ナノカーボン)が多く合成されてきました。 代表的なナノカーボン3種類(上)およびそれらの部分構造をもつ分子(下) たとえば、カーボンナノチューブを輪切りにした構造の分子であるカーボンナノリングやカーボンナノベルトは、1930年代から理論
子どもと一緒にシェアして読んでる漫画に少年ジャンプ連載の『Dr.STONE』(ドクターストーン)があります。 Dr.STONE 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者: 稲垣理一郎,Boichi 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/07/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (4件) を見る 人類が謎の現象によって石化してしまった3700年後の、原始時代みたいな世界で、科学の知識(もっぱら化学とちょっと物理)を使って、サバイバルするみたいなお話です。(最初はサバイバルかと思ったら、人間同士のバトルになっちゃうんだけど、バトルでもちゃんと科学は使われる。) この作品、『はたらく細胞』(もっぱら生物)と同じく、漫画としても面白い上、科学ネタが豊富です。というか、科学自体がテーマの漫画です。 はたらく細胞(1) (シリウスコミックス) 作者: 清水茜 出版社
果物に含まれるクエン酸は電解液代わりとなる。ってことはクエン酸がたっぷり含まれたレモンは電池代わりになるということだ。 災害時、火が必要だが手元にはレモンと釘とピン、導線、スチールウールしかない。そんな時には役立つかもしれない、レモンを使って火を起こす方法を見ていこう。 いやその材料そもそも揃わないとか、他にもっと簡単に火をおこす方法が、とか、非常時ならレモンで水分とビタミン補給だろとか、突っ込みたい気持ちもいろいろわかるが、面白科学実験の一種として見ていこう。 だってレモン電池なんだぜ?かわいいじゃないか。 How To Make Fire With A LEMON ▼実験に必要なもの ・レモン 1個 ・ 銅製クリップ 6個(銅のコインでも代用可) ・ 亜鉛メッキの釘 6本(亜鉛のコインでも代用可) ・ 針金 ・ スチールウール まずレモンを手のひらで柔らかくする。 次に クリップをレモ
アルカリ金属を水に入れると派手に爆発する。化学の授業でおなじみのこの実験の反応機構が、実は長く誤解されてきたことが、ハイスピードカメラを使った研究で判明した。 ナトリウム‐カリウム合金の液滴が水中に落下する様子。左側は水面を斜め上から、右側は水面を斜め下から捉えた画像。金属液滴が水面に触れた直後、超高速でスパイクが形成されている様子が見て取れる。また、スパイクが成長していく過程では液滴周囲の溶液が青紫色に変化している。 Ref.1 金属ナトリウムや金属カリウムの塊を水中に投げ入れ、爆発を眺める。化学を使った悪ふざけの定番ともいえるこの爆発反応は、アルカリ金属の高い反応性を説明する実験として、何世代にもわたり化学を学ぶ学生たちを驚嘆させてきた。ところが今回、これまで単純明快とされてきたその反応機構の裏に、一連の興味深いプロセスが隠されていたことが明らかになった1。 アルカリ金属が水と接触して
蒟蒻について 蒟蒻は変わった食べ物です。 消化出来ない上に味がありません。 味付け出来ないことも無いですが、ほぼ食感を楽しむだけの存在です。 そして、多くの食品が酸性の中、蒟蒻は珍しいアルカリ性食品、しかもpH12という極めて高いアルカリ性を示します。 とても食べ物とは思えません。日常的に食べているのは日本だけです。 そんな蒟蒻ですが、日本には5~7世紀頃に中国から伝わったと言われています。 ただし、詳しいことは分かっていません。長く精進料理として食されてきたため、仏教と共に伝来したのかもしれません。 蒟蒻が民衆に広まったのは江戸時代中期。蒟蒻芋を精製して粉にする方法が開発されたため、保存と輸送、そして大量生産が容易になりました。 今も精製粉は市販され、手軽に蒟蒻を作ることが出来ます。 精製粉を使った蒟蒻は写真のように白く透明なゲルになります(97%以上が水のハイドロゲルです)。 ところが
一般的な話題 天然物の全合成研究ーChemical Times特集より 2018/7/16 一般的な話題, 化学者のつぶやき, 製品情報 ケミカルタイムズ, 全合成, 有機触媒 コメント: 0 投稿者: webmaster 関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。 今年3つめとなるケミカルタイムズの特集は天然物の全合成。CSJカレントレビューの発刊や有機合成化学協会誌の特集号も天然物合成でした。新たな手法が多数開発されて、再び最新合成戦略で華麗に複雑化合物をつくる天然物合成が注目されています。 記事はそれぞれのタイトルをクリックしていただければ全文無料で閲覧可能です。PDFファイル)。1冊すべてご覧になる場合はこちら。 有機触媒を用いた生物活性化合物の全合成 東北大学の林雄二郎教授らによる記事。有機触媒反応とポット合成をキーワードとした
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