高校の軽音楽部でエレキギターを初めて手にし、大学時代にメンバー構成の都合でベースに転向してから、気がつけば半世紀を越える年月が流れた。現在も年に1度、東京と大阪でバンド「Fancy Free」のライブを続けており、今年は大阪の番だ。
40年のブランクを経たピック派ベーシストの筆者が
最終的に辿り着いたのがこのERGOピック
昨年の東京ライブから使用しているのが、今回紹介するESP製の「ERGOピック」である。ベースは“指弾きが格好良い”とされる時代を経てきたが、1960年代の深夜番組「Soul Train」で見たラリー・グラハムのスラップ奏法(当時の日本では“チョッパー”)に衝撃を受けつつも、ピックでスタートした癖は抜けなかった。
さらに40年のブランクを経た身には、やはりピックが性に合う。そんな筆者が辿り着いた“超大型ピック”がこのERGOピックである。
ライブで演奏を再開するにあたって、「そもそも今どきベース用ピックはあるのか?」という素朴な疑問からネット検索を始めたのがきっかけだった。
手持ちの古いピックは数百枚あるが、素材も厚みもバラバラで、割れたり欠けたりと寿命も短い。そんな中で出会ったのが、ESPの「ERGOピック」だ。見た瞬間に“変態的な形状”と感じるが、これが実に理にかなっている。
ERGOピックは、一般的なおにぎり型よりも一回り大きく、指先全体を包み込むようなエルゴノミック(人間工学)デザインが特徴だ。指先の力を均等に分散させ、長時間の演奏でも疲れにくい。ESPロゴ部分は滑り止め加工が施されており、汗をかいてもホールド感が落ちない。厚さは0.6/0.7/0.8/1.0mmの4種類。
素材は耐摩耗性に優れたポリアセタール樹脂で、ピック弾き特有の「アタックの立ち」を損なわない。一般的に「ベース用ピック」と呼ばれるものは、弦の太さに耐える剛性を重視するため分厚く硬いタイプが多い。ところが筆者が最終的に選んだのは、最も薄い0.6mmモデルである。
一見すると逆行しているように見えるこの選択だが、実際に弾いてみると音の立ち上がりが柔らかく、リズムセクションとして他パートとの混ざりが良い。厚いピックでは“弦を弾く”というより“弦を叩く”ニュアンスになりやすく、音の輪郭が強すぎてしまう。0.6mmのERGOピックは、その境界を絶妙に中和してくれる。
またこのサイズ感は、ベース弦のストローク方向を安定させる効果もある。ピッキング面が広いため、弦の振動を受け止めながら次の弦へ滑らかに移行できる。
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