8月の終戦の日が近づくと、金融分野では戦前に発行された外貨建て日本国債がよく話題になる。1897年、日本は日清戦争の賠償金を元手に金本位制を採用した。日本政府が発行する紙幣はいつでも金と交換が可能で、金の価値を媒介にして各国通貨と固定為替レートを持つことになった。当時先進国のほとんどは金本位制を採用しており、これによって日本も先進国に一歩近づいたと理解された。(板谷敏彦) ※画像はイメージです(Getty Images) 金本位制の採用は為替レートの固定化によって貿易が促進されるとともに、海外からの資金調達の道を開いた。金本位制維持は財政的な信用そのものでもあった。1904年に始まる日露戦争では、日本は外貨建て公債を発行し、戦費約18億円のうち7億円分(政府手取りベース)を海外からの借金で賄ったことは有名である。 その後世界は金本位制から管理相場制へと移行したが、日本は関東大震災の震災復興