2010年を1とする指数で見ると、2040年において、受給者は1.22に増加する反面で、保険料納付者は0.8に減少する。日本における年金の問題とは、結局、今後30年の間に、保険料納付者が8割に減り、他方で受給者が2割以上増えるということに集約されているのである。 これですら楽観的な見通しである可能性もある。まず、製造業の海外移転が進んだり、厚生年金に加入しない非正規労働者の比率が増えたりすれば、加入者数はさらに減少するだろう。他方で、年金額のデフレスライドやマクロ経済スライドが完全に実施されなければ、年金の所得代替率が上昇するため、年金受給年齢に達した後は就業を続けて在職老齢年金の制約で年金をカットされるよりは、就業せずに年金をフルに受給することが有利になるだろう。これは、受給者数をさらに増やす可能性がある。 マクロ経済スライドや保険料率引き上げでは 対処できないはずなのだが こうした事態