デンドロビウムという名前を最初に聞いたとき、それが何なのか分からなかった。
まるで兵器のような響きだった。というか、実際、ガンダムに出てくる兵器の名前でもある。
巨大で、無骨で、容赦がなくて。
種類によっては甘く香るものもあるし、縁がひらひらとレースのようなものもある。
冬から春にかけて、何も語らず、何も求めず、ただそこにある。
私はこれを見るたび、「耐えてきた人」を思い出す。
騒がず、怒らず、泣かず、でも折れず。
静かに季節を待つ人。
「わがままな美人」「思いやり」「真心を語る」などがあるけれど、
正直、それらの言葉ではとても足りないような気がする。
もっとこう、
人知れず夜の水を吸い上げるような、
あと、余談だけど「気難しさ」もある。
置き場所が悪いと咲かないし、環境が変わると途端に枯れることもある。
人間関係みたいだと思う。
うまくいけば何年も咲いてくれる。
名前は強いのに、姿は静かで、声は聞こえない。