事業縮小の挫折経験をきっかけに独立起業の道を選ぶことになったmitorizファウンダーの木名瀬博さんは「『働きたい』と願うすべての人に機会を提供したい。起業を決意したときも、いまも、私の関心はこの1点にある」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、木名瀬博『「当たり前」を極める人だけがビジネスチャンスをつかむ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

mitoriz創業へとつながる「痛恨の出来事」

働く女性たちの価値が過小評価されていることに誰も目を向けようとしないなら、自分がそれを証明してみせようじゃないか。それがmitoriz創業の理由です。

始まりは、アサヒビールの子会社として設立されたスマイルサポート(2003年1月より営業を開始。現アサヒフィールドマーケティング)というラウンダー業務専門の会社でした。

立ち上げの責任者を命じられ私は、アサヒビールからスマイルサポートに出向することとなり、取締役に就任します。

しかし、酒類の販売の実質自由化によって酒販店中心から量販店中心の体制に移行すると、状況が一変します。人員の最適化が求められた結果、およそ200人のスタッフさんが会社を去っていきました。

階段を上るスーツの惰性
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
※写真はイメージです

人員最適化という名のリストラで、独立を決意

彼女たちは、私のことを恨んだはずです。

恨まれても仕方ありません。働く意欲がある女性にその機会を提供したいと思って始めた事業なのに、それに反したことをやっているのです。

本社からはさらに人数を減らすよう矢の催促をされましたが、これ以上の人員最適化はどうしても受け入れたくないと思いました。悩んだ挙げ句、私は独立を決意します。

悪戦苦闘しながらいくつも壁を乗り越えてきたスマイルサポートの1年で、働きたい女性が生き生きと働ける社会をつくるのが私の夢だ、ということがはっきりしたからです。

将来を棒に振ってもいいのかとも言われましたが、たとえこの先アサヒビールという大企業で出世がかなったとしても、自分の思いを果たさなかったら今際の際に絶対後悔するでしょう。そんな人生はまっぴらです。

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