『第30回釜山国際映画祭』で北村匠海、林裕太、綾野剛が最優秀俳優賞に輝いた映画『愚か者の身分』。闇ビジネスや貧困といった社会の周縁で生きる人々を描いた本作は、西尾潤による小説を原作に、永田琴監督が向井康介を脚本に迎えて映画化した意欲作である。 5人の視点から描かれた原作を3人の男性に絞り込み、約2時間の作品へと大胆に編集。エンターテイメント性と社会性を両立させた絶妙なバランスは、永田監督のこれまでの経験の集大成といえる。本インタビューでは、3人集まるのは取材日が初めてだったという監督、原作者、脚本家の3人が、映画化に至る経緯から制作の裏側、印象的なシーンの数々について語り尽くす。 新宿を舞台に、闇ビジネスの世界で生きる3人の男たちを描く群像劇。戸籍売買に手を染める若者タクヤ(北村匠海)、彼に拾われた過去を持つマモル(林裕太)、そして元ボクサーで運び屋を生業とする梶谷(綾野剛)。貧困や少年犯