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2025-09-10

砂塵のあとに

広場に人々が集まり

ある者は叫んだ。

「王は退く! ついに座を去る!」

すると群衆はざわめき、

胸を高鳴らせ、

砂塵のように声が舞った。

やがて別の者が現れ、

帳を広げて語った。

「その声は早すぎた。

かに兆しはあったが、

確かな証は今ここにある」

人々はうなずき、

たか最初叫びなど

なかったかのように頷いた。

わたしは苦笑した。

――勝負が終わったあとで、

手を出す者の掌は、

いつも清らかに見えるのだ。

だがその掌は、

本当に正しさを示すのか。

それとも遅れて舞う影の一つか。

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