最新研究から見えてきた「スーパーエイジャー」たち

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Dana G. Smith/The New York Times 翻訳=城俊雄/朝日新聞GLOBE編集部
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A Peek Inside the Brains of ‘Super-Agers’

 年を取ると認知機能が衰える、と誰もが思いがちだ。頭の回転が遅くなったり、考えが混乱したりするかもしれない。高校時代の英語の先生の名前を思い出せなかったり、いったい何の買い物に来たのかを忘れたりすることもあるかもしれない。

 だが、全員がそうなるわけではない。

 ここ10年あまり、科学者たちは「スーパーエイジャー[super-ager]」と呼ばれる一握りの人々を対象にした研究を進めてきた。80歳以上の高齢者だが、実年齢より20~30歳も若い人に匹敵する記憶力を持っている人たちだ。

 老化と記憶に関する研究の大半は、着目の仕方が逆だ。つまり晩年に認知症を発症する人々に焦点を当てているのだ。しかし、2012年にスーパーエイジャーに関する初期の研究を発表したシカゴ大のエミリー・ロガルスキー教授(神経学)は、「老化によって生じる問題点を取り上げるばかりでは、高齢の人たちに起きていることの全体像は把握できない」と指摘する。

 4月29日付の米神経科学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に発表された論文は、スーパーエイジャーと呼ばれる高齢者たちの脳のどんな点が特別なのか、解明の手がかりを与える。同じ被験者グループを対象とした2023年発表の研究結果と合わせると、最大の発見は、スーパーエイジャーと呼ばれる人々は、同世代の人々と比べて脳の萎縮が少ない、ということだ。

スーパーエイジャーと、同年代の普通の高齢者は、どこがどう違うのか。両グループを比較した調査研究がスペインで行われました。

■脳には差があった…

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