漢文や漢字を読む際に、字音ではなく、表意の字義にしたがって読むこと。大和言葉による読み方。
漢文を訓読するにおいて、現代語で特に訳さなくても良い語が存在します。 それを置き字というのですが、 中学生は「而」「於」の2種類、高校生はそれに加え「于」「矣」「乎」の3種類を知っておきましょう。 実はこの置き字、本来は訳さなくて良いのですが、あえて訳した方が文の意味が通りやすくなって文章全体の流れがわかりやすくなる場合があります。その場合はこう訳しましょう。そして意味や品詞は以下の通りです。 而・・・しかして(だが、そうして)[接続詞] 於・・・おいて(~という所)[前置詞] 于・・・おいて、ここに、より(~という所)[前置詞] 矣・・・かな(~だなぁ)[助動詞] 乎・・・や、かな(~だなぁ…
前回までのあらすじと本記事の位置づけ 漢語 文語 書かれた文章 文言の2大ルール 漢字と文法 漢字だが漢文ではない文章 書き手の属性は不問 読まれ方も不問 以下は国語教育寄りの話。 訓読を学ぶ理由1 訓読体を読むために訓読を学ぶ。 学ぶ理由2 現代中国語を中1で習得するのは困難 学ぶ理由3 伝統的な翻訳方法を学んで追体験(5/16追記) 学ぶ理由4 日本語を見直す(津田左右吉をふまえ) 5/19追記 音読と訓読の違い 訓読の問題 文語文では理解しにくい 訓読の利点 原文は残せる 音読の利点 日本語にとらわれにくい 訓読でも意味は考える 訓読を古典文法より前に習うことの問題? 5/16追記 おま…
前置き この記事は『貞観政要』を読んでいこうという試み(連載?)の第3回目です。 『貞観政要』は唐の太宗李世民の政治や言行を記録した書で、明の成化帝の時代にも刊行されました。今回は成化帝による序文「御製序」の後半部分を読みます。この連載の試みの背景や御製序の前半部分の訓読については、以下の前回記事をご覧ください。 『貞観政要』の概要や個人的な動機: 御製序・前編: 前編に続き、『貞観政要』の御製序の後段を読んでいきます。 翻字 序文全体の翻字を前回に示しているので重複になりますが、全文を再掲します。今回は中盤の「朕、萬幾之暇銳情經史、偶及是編」からになります。 .origin -- 御製貞觀政…
焉知非福 どうして、「福ではない」と考えるのか? まさに福ではないか! 塞翁失马,焉知非福 (sài wēng shī mǎ, yān zhī fēi fú) どんな不運も、前向きにとらえるとよいのでしょうね。😎 時間が流れ、時間の経過の中で癒されます。時間と忘却が一役買うのでしょう。 「では」、と楽天家は考える。「ぼーっと時を過ごしているだけで、予定調和的に幸福が訪れるのですね、何もしなくても!」 まぁ、そういうこともでないでしょうけれど。 www.youtube.com
原文 傳 王正月也 注 以上繋於王知王者受命布政施教所制月也王者受命必徙居處改正朔易服色殊徽號變犠牲異器械明受之於天不受之於人夏以斗建寅之月為正平旦為朔法物見色尚黒殷以斗建丑之月為正雞鳴為朔法物牙色尚白周斗以建子之月為正夜半為朔法物萌色尚赤 訓読 傳 王の正月なり。 注 上に王に繋ぐを以て王者受命し政を布き教を施し制する所の月なるを知るなり。王者受命せば必ず居處を徙し、正朔を改め、服色を易へ、徽號を殊にし、犠牲を變じ、器械を異にして、之を天に受け、之を人に受けざるを明らかにす。夏 斗を建寅の月を以て正と為し、平旦を朔と為し、物見に法りて黒を尚ぶ。殷 斗を建丑の月を以て正と為し、雞鳴を朔と為し、…
再び『史記』を読んでいくことにしました。「五帝本紀」は以前に読んだので、「夏本紀」からになります。見ての通り[]内が注釈になります。アンダーライン引いている箇所は訓読・訳に不安がある箇所です。 *三家注(集解・正義・索隠)の訳が無いってすごい不便ですね… 【原文】 夏禹[一]、名曰文命。[二]禹之父曰鯀、鯀之父曰帝顓頊、[三]顓頊之父曰昌意、昌意之父曰黄帝。禹者、黄帝之玄孫而帝顓頊之孫也。禹之曽大父昌意及父鯀皆不得在帝位、為人臣。 [一]集解 諡法曰「受禅成功曰禹。」正義 夏者、帝禹封國號也。帝王紀云「禹受封為夏伯、在豫州外方之南、今河南陽翟是也。」 [二]索隠 尚書云「文命敷于四海」、孔安國…
今回は学而篇の第三章を扱う。 <原文> 子曰巧言令色鮮矣仁 <訓読> 子曰く、巧言令色鮮ないかな、仁。 <現代語訳> 孔子先生が言うに「仁者と呼ばれる人に、言葉を巧みにして人に取り入り、自分の顔色を良くして相手を喜ばす者は少ないものだ。」 <原文> 包曰巧言好其言語令色善其顔色 <訓読> 包曰く、巧言は其の言語を好くし、令色は其の顔色を善くす。 <現代語訳> 包咸が言うには「「巧言」というのは言葉を曲げて語ることを好むことを指し、「令色」というのは自分の思いと裏腹に自らの顔色を良くすることを指す。 <原文> 皆欲令人説 <訓読> 皆人をして説ばしめんと欲す。 <現代語訳> 相手のことを喜ばせよ…
前回の序文の量が膨大だったので、ひとまず学而篇に入ることにした。今回は学而篇の序全文である。 <原文> 正義曰自此至堯曰是魯論語二十篇之名及第次也 <訓読> 正義に曰く、此れより堯曰に至るまでは是魯論語二十篇の名及び第次なり。 <現代語訳> 邢昺の『論語正義』によると、この篇から堯曰篇に至るまでは魯論語二十篇の名称と順番に従っている。 <原文> 當弟子論撰之時以論語為此書之大名学而以下為當篇之小目 <訓読> 弟子の論撰の時に當たり、論語を以て此の書の大名と為し、学而以下を當篇の小目と為す。 <現代語訳> 孔子の弟子がその言行を論撰する時に当たって、「論語」をこの書の名とし、学而以下を各篇の題と…
お久しぶりです。夏休みに入ったこともあり、自分の漢文力向上の為に十三経注疏の『論語注疏』の訳をしてみることにしました。気持ちは高らかに始めたのですが、だいぶ難しくて辛かったです💦(特に官職とか厳しいですね。また別に勉強しないとなと思いました) 底本は中華書局本で、参考書として汲古書院の『全譯論語集解』を用いています。中々漢文を白文で読む機会が無く、これが初めての試みなので、色々とおかしな箇所もあるかと思いますが、何かご指摘がありましたら、是非お教えください。今後の参考にさせて頂きます。 *夏休み中になんとか学而篇は読み切りたいなぁと思ってます… 《原文》 叙曰漢中壘校尉劉向言魯論語二十篇皆孔子…