アサヒグループホールディングスのシステム障害は発生から1カ月を経ても受注や出荷、経理などで影響が続き、完全復旧のめどはいまだ立たない。同社はコンピューターウイルス「ランサムウエア」への感染が原因と説明している。専門家からは企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、ITシステムを統合する潮流が、影響の広がりや復旧の難しさにつながっている可能性が指摘される。 アサヒは現在、システムによる受注や出荷ができないため、電話やファクスなどで取引先からの注文を受け付けている。出荷量は限られ、一部の飲食店や小売り各社との共同開発商品の供給などで支障をきたし、欠品や品薄が続く。 「外部の専門家とも協力し、一刻も早い事態の収束に向けた対応を行っている」と広報担当者は語るが、出口はみえていない。経理関連データにも障害が生じ、11月中旬予定の2025年1~9月期連結決算発表も延期となり、未定のままだ。