「ひとり」が安心して暮らせる社会は? 高市早苗さんが憲政史上初めて女性の内閣総理大臣に任命された10月21日、私は国会議事堂の衆議院本会議場、傍聴席にいた。別に世紀の瞬間を目撃しようと高揚していたわけではなく、物見遊山で行ってみることにしたのだが、当日は傍聴人の行列ができて立ち見が大勢出るほど。任命の瞬間は場内が拍手に包まれたものの、拍手しない議員たちもいたし、私は狭くて硬い椅子でお尻をもぞもぞさせ、心は冷めまくっていた。 かくいう私は2023年、男女同数議会を20年以上も維持する神奈川県大磯町を取材した本を出版している。女性議員を増やしたい、その参考になればと願ってのことだ。私自身が「中高年シングル女性」で、男性稼ぎ主モデルを土台とし、女性には結婚がセーフティーネットとなるような日本の社会構造からこぼれ落ちてしまう属性にある。だから、切実なのだ。長年、生活困窮や、さまざまな困難に遭い続け