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Photographed by tsubottlee

ひとつ前の記事では、家族から受け継いだ住まいについて、こだわりの空間やお気に入りのアイテムを紹介しました。

今回は、リノベーションと増築によって新しく生まれ変わったこの住まいで、これからの暮らしを楽しむための工夫やアイデアを聞いていきます。

「部屋紹介編」はこちらから↓



お名前(職業):tomomiさん(言語聴覚士)、夫・あきらさん、お子さん3人
場所:和歌山県
面積:2LDK / 33坪
築年数:リノベ部分:築55年、増築部分:築5年
間取り図:

illustrated by oyumi



暮らしのアイデア①
「好き」と「空間」のバランスを見極めて選ぶ

こだわりの詰まった空間に並ぶアイテムの数々。tomomiさんの住まいに置かれているものは、どれも大切に使い続けられてきたものばかりです。

新しいものを迎える際には、慎重に検討するようにしているといいます。

「家具を買うときは、どこに置くかや何と並べるかを夫婦でシミュレーションしてから決めています」

たとえばキャビネットひとつとっても、その上に何を置くか、既存のインテリアと合うか、本当に必要なものかどうか。

細かなバランスまで含めて、納得のいくまで検討してから迎え入れているといいます。

また、選ぶ色合いにもこだわりがあるのだそう。

「我が家は木張りの壁が多いので、自然と茶色や黒など落ち着いた色が多くなっています。空間の雰囲気を壊さないことも、もの選びの基準のひとつですね」

色で少し冒険する際には、必ず現物を確認。

「最近購入したスーホルムのアンティーク照明は青。今までにない色味で少し迷いましたが、実際に見て『これは合う』と確信してから購入しました」

自分たちの「好き」を大切にしながら、空間との相性を丁寧に見極める。

そんな姿勢が、住まい全体の心地よさに表れています。

暮らしのアイデア②
経年変化が楽しめるものを取り入れる

夫婦揃って、アンティーク家具など古いものが好きだと話すtomomiさん。

住まいに取り入れるアイテムもまた、「時間の流れ」を楽しめるものが選ばれています。

「家づくりの話をする中で、いいよねと意見が一致する家具はアンティーク家具でした。それが我が家の軸になっています」

住まい自体も、古いものが馴染むようにリノベーションで整えられているため、自然と経年変化を楽しめるアイテムが増えていったといいます。

「ダイニングの椅子はずっとパイプ椅子で過ごしていました。理想のアンティーク家具に出会うまでは妥協せずいろんなお店を巡って、ようやく今のチェアに出会えたんです」

購入後も、グラつきを修理したり磨いたりと、丁寧にメンテナンス。使い込まれてなお美しい姿から、大事にしていることが伝わります。

また、新品のアイテムであっても、木や真鍮など変化を楽しめる素材を選ぶようにしているそう。

たとえばダイニングの照明は、新築当初はキラキラのゴールドだったものが少しずつ落ち着いた色合いに変化し、深みが加わっています。

暮らしのアイデア③
見せるもの、見せないものを分けて考える

お気に入りのものをじっくり選び抜いている一方で、日々の暮らしでは「見せる」「隠す」の使い分けも大切にしているtomomiさん。

「本当はすべてのものを作家さんの作品などで揃えたいという憧れはあります。でも子どもも小さいし、暮らしがスムーズにまわることも大事なので、見せていいものとそうでないものは分けて収納するようにしています」


キッチンでは、気持ちが上がるお気に入りの器などが目の高さに飾られている一方で、カウンター下には日常使いのアイテムがすっきりと収納されています。

収納家具はあらかじめ作り込みすぎず、暮らし方に合わせて変化させていくスタイルです。

「器も、現状は子どもが使うことを考えて“食洗機で洗えること”を優先しています。もう少し大きくなったら、好きな器を少しずつ増やしていきたいですね」

リビングの収納も、インテリアと調和するように工夫されています。

たとえば、一見ベンチのように見える家具の下にも収納が。

「子どものプリント類など、すぐに捨てられないけれどかさばるものをまとめて入れています」

ひとつ前の記事でも触れたように、家族の成長にあわせて部屋の使い方も見直し始めているtomomiさん。

暮らしの変化に合わせて、取り入れるものや見せ方も柔軟に進化していく住まいには、これからどんなアイテムが加わっていくのでしょうか。その未来が楽しみになる住まいでした。

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