眼前で女性は刺された 長野4人殺害、目撃男性「忘れてはいけない」
その慰霊像が建てられたのは、今月に入ってからだった。長野県北部に位置する中野市。周辺にリンゴなどの畑が広がる、のどかな地域の住宅の敷地に像はたたずんでいる。
「あいつの両親が建てたんだ」。近くに住む男性が話した。約1年前、ここで男女4人が殺害された。あいつとは、事件で逮捕されたこの家の長男、青木政憲被告(32)のことだ。
2メートル先で倒れた女性
夕方、ネギ畑で農作業をしていた男性がひと休みしていた時だ。「おじさん、助けて」。中年ぐらいの女性が土手を駆け上がって畑の中まで走ってきた。すぐ後ろから迷彩服を着た被告が追いかけてくる。「何が起こったんだか分からなかった」
女性が7、8メートルほど畑の中まで逃れてきた時、被告が追いついた。次の瞬間、女性の背中をナイフで2度刺した。女性が仰向けに倒れると、さらに胸付近を刺した。
被告の手に握られていたのは見たこともない、なたに代用できるような大型ナイフだった。
わずか2メートルほど先で起きた出来事。なぜこんなことをするのかと、ナイフをしまおうとする被告に問うと、「殺したいから殺した」。こうつぶやいて、無表情のまま向きを変えて、もと来た道を歩いて去って行った。
「まさか、あいつなのか」
男性は、近くにいた友人と手分けして警察と消防に通報した。しかし、事件はこれで終わらなかった。
刺された女性に友人が心臓マ…