後世に伝えたものは 市民70人で「水俣遺産サミット」

今村建二
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 【熊本】後世に伝えたい風景、食べ物、場所は。市民が意見を出し合って水俣市内の魅力を探す「水俣遺産サミット」が4月27日、市公民館であった。

 主催は市民団体「水俣の歴史的遺構(跡)を残す会」。水俣病の原点とされる「百間排水口」にある樋門(ひもん)が昨年、撤去されようとしたことから保存を求めて活動を展開した。

 排水口の文化財指定をめざす加藤タケ子会長は「足元の文化的な価値を見つめ直す必要がある」と考え、公害にかかわらず、広く水俣の遺産について語り合うサミットを企画した。

 71人の参加者は八つのグループに分かれて「残したいもの」「案内したいもの」で意見を出し合った。

 水俣病の歴史を伝える市資料館、水俣病センター相思社のほか、水俣出身の言論人、徳富蘇峰の生家などがあがった。九州各地にある大判焼きだが、本店が水俣の蜂楽饅頭(まんじゅう)や、干し大根を漬けた寒漬けなどの食べ物も多くの人が推した。

 サミットの後半では、元日大教授の糸永浩司さん(環境建築学)が講演。江戸時代のころは塩田の海水を引き入れるために百間に樋門が設置されていたとの見方を紹介。「近世、近代の歴史的遺産としても価値がある」と話した。(今村建二)

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