日本人負傷の自爆攻撃、誰が パキスタンで再び増えるテロ事件の背景

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聞き手・岩田恵実
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 パキスタン南部の商都カラチで4月、日系企業駐在員5人が乗った車列が自爆攻撃に遭い、日本人1人がけが、警備員1人が死亡しました。パキスタンでは、一時沈静化したテロ事件が2021年以降、増加傾向にあるといいます。日本人駐在員は標的になったのか。就実大学の井上あえか教授(パキスタン現代史)に、パキスタンという国の現状について聞きました。

 ――日本とパキスタンはどんな関係にあるのでしょうか。

 パキスタンは親日国です。日本は長年、政府の途上国援助(ODA)の主要な供与国であり、橋や病院などのインフラが日本によって造られてきたことをパキスタンの人々はよく知っているからです。日本からは自動車や機械を輸出する一方、パキスタンからは綿織物や生薬の甘草などを輸入しています。パキスタン各地で、スズキやトヨタ、ホンダなど日本車がたくさん走っています。

 ――日本人駐在員らの車が攻撃されました。

 現在、パキスタンでテロ攻撃を仕掛けている主体は主に三つです。最も多いのが反政府勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)です。過激派組織「イスラム国ホラサン州」(ISKP)や、バルチスタン州の分離独立派によるテロもあります。

標的は誰だったのか

 今回は犯行声明がなく、明確にはわかりませんが、考えられる可能性は二つあると思います。

 一つはムスリム以外を敵とみ…

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