負けをとり返そうとしてのめりこんでいく「ギャンブル依存症」。家族も気付かないうちに大きな借金を抱え、表面化して驚くケースが増えているという。どんな病で、どう対処すべきなのか。大阪精神医療センター依存症治療・研究センター副センター長の入来(いりき)晃久医師(臨床精神医学)に聞いた。5月14日からはギャンブル等依存症問題啓発週間。
――アルコールや薬物などほかの依存症との共通点はあるのですか?
何度もその行為をしてしまう。繰り返す行動です。それによって生活に何らかの支障が出ているのに、やめられないというのが大きな共通点です。
――脳に異常が起きているのでしょうか。
ギャンブルでもアルコールでも同じですが、強い刺激を繰り返すと、ドーパミンという物質が適切に出なくなります。これを「報酬系の異常」と呼びます。同じ刺激では満足できなくなり、より強い刺激を求めたり頻度が増えたり、賭け金が増えたりします。これを耐性と呼びます。
例えば映画を見に行くとか外出しようとか友人らに誘われても、脳が反応しないので興味関心がわかない。結果、人付き合いが減り、単独行動が増えていきます。
――ギャンブル依存症の特徴は?
問題がなかなか、表に出てきません。ギャンブルを続けるには資金がいるので、働き続けている人が多い。アルコールや薬物のように体を悪くして病院に運ばれることも少ない。社会機能は維持できていて、ある日突然、大きな借金があることや会社の金に手をつけていたことがわかり、皆がびっくりする。周囲は全く知らなかったということはよくあります。
――どんな人がなりやすいのでしょう。
誰でもなりえます。
すごく真面目な人、何かに打…