第6回中小企業のM&A仲介「玉石混交で知識乏しい担当者も」専門家が警鐘

有料記事M&A仲介の罠

聞き手・藤田知也

柴田堅太郎(しばた・けんたろう)さん

1998年慶応大法学部卒業、06年ノースウェスタン大ロースクール卒業。14年に柴田・鈴木・中田法律事務所を開設し、M&Aなどの企業法務案件を扱う。著書に「中小企業買収の法務」など

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 M&A仲介を通じた中小企業の事業承継で、給与未払いや営業停止などが相次ぐ事案が取材で浮かび上がりました。「中小企業買収の法務」などの著書があり、大企業側の法務アドバイザーとして中小企業の買収にも携わる柴田堅太郎弁護士に、トラブルが多い業界の現状と課題をききました。

 ――多くのM&A仲介業者を通じて同一のグループに買収された中小企業を巡って、従業員給与や取引先代金、融資返済、家賃、税金や年金などの未払いが相次いでいる事案があります。

 「まともな企業グループなら、倒産しそうな子会社をたたむとしても、資金を援助して債務超過を解消するのが筋だ。債務の個人保証を解除されない前経営者も含め、従業員や債権者といったステークホルダー(利害関係者)の利益を損ねているのは大きな問題だ」

 ――多額の現預金が抜かれたために資金繰りが悪化し、倒産した買収先もあります。

 「中小企業のM&Aはトラブルが多く、現預金の多い売り手企業はとくに食い物にされやすい。一方で、買い手のほうが『こんなはずじゃなかった』と訴えたり、仲介業者が成功報酬を踏み倒されたりするケースもある」

 ――なぜトラブルが多いのでしょうか。

 「大企業なら一方の利益のた…

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