女性の手を握り「大丈夫ですよ」 飛び降り防いだ、中学生5人の勇気

波多野陽
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 部活の帰り道、橋から飛び降りようとする女性を助けたとして、福島県伊達市立伊達中学校の生徒5人が4日、伊達署から感謝状を受け取った。

 3月28日午後、同中3年生の遠藤和奏(わかな)さん(14)、佐藤優羽(ゆう)さん(14)、松橋乙希(あつき)さん(14)の3人は、吹奏楽部とバスケットボール部の練習をそれぞれ終えて、学校から400メートル離れた伊達橋に差しかかった。

 そこで、女性が欄干を乗り越えて外側に立ち、阿武隈川に飛び込もうとしているのを見つけた。強風の日なのに薄着。女性は、泣きそうな表情を浮かべていたという。

 通り過ぎる大人もいるなか、「見ないふりはできない」(佐藤さん)。3人は勇気を出した。

 「大丈夫ですか」

 落ち着かせようと、何度も声をかけていると、女性は泣きながら「ごめんなさい」と応じた。

 「大丈夫ですよ」。3人は女性の手を握り、協力して欄干の内側に引き上げた。

 合流した吹奏楽部の2年生、唯野柚月(ただのゆづき)さん(13)と高橋桃萌音(ももね)さん(13)は、近くの大人に助けを求めて、警察に通報を促した。

 生徒たちは女性を近くの公園のベンチに座らせて、数分後に駆けつけた警察官が女性を保護した。その後、女性やその家族は、関係者に「助かった」「(女性が)生きていてよかった」などと生徒たちへの感謝の言葉を伝えたという。

 4日に伊達署で手塚浩署長から感謝状を受け取った5人は、それを聞いて「無事でよかった」と安堵の表情を浮かべた。

 高橋さんは、「日頃の読書で外国の栄養失調の子どものことなどを知ってはいたが、目の前で今回のようなことがあり、改めて命の大切さに気づいた」と振り返った。

 手塚署長は「勇気が必要な場面だったと思う。学校や家庭、地域が命の重さを醸成してくれたのも大きかったのでは」と生徒たちをたたえた。(波多野陽)

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