女性の自己決定、尊重されない日本 フランスで慈恵病院が感じたこと

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聞き手・大貫聡子
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 誰にも相談できずに孤立出産し、子を遺棄したとして、女性が罪に問われる事件が絶えない。女性と子どもの命を守るため、熊本市の慈恵病院は2019年から「内密出産」(周囲に妊娠を知られたくない女性が、病院で特定の担当者にのみ身元を明かして出産する仕組み)に独自に取り組む。匿名のまま出産できる制度や、子どもの出自を知る権利を保障する法律があるフランスを23年10月に視察した蓮田健院長と蓮田真琴新生児相談室長に、日本との違いをどう見たのか聞いた。

「母子の症状、日本になかった概念」 蓮田健院長

 匿名出産で生まれた子の出自を知る権利と、女性が求める匿名性の両方を大事にしよう。もっとも印象的だったのは、フランスの制度や支援に関わる人たちのそんな姿勢でした。

 現在、「こうのとりのゆりかご」(親が育てられない子を匿名で預かる仕組み。病院が07年に設置)に託された子や、内密出産で生まれた子の出自を知る権利について、熊本市と共同設置した委員会で検討が続いています。

 私も委員の1人として参加していますが、当事者としても差し迫った課題です。実際にいま、ゆりかごに託されたお子さんが成長し「お母さんがどんな人なのか知りたい」という問い合わせが病院に来ているのです。

 ゆりかごに預け入れに来た女…

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    たかまつなな
    (時事YouTuber・笑下村塾代表)
    2024年4月14日19時1分 投稿
    【提案】

    私も先日蓮田健院長を取材しました。 こうした仕組みや法律が整っていれば、赤ちゃんが殺されてしまったり、遺棄されてしてしまうという悲しい事件を減らすことができます。 女性の愛着障害、発達障害、知的障害と言った背景も多くあるそうです。生理が

    …続きを読む