水俣病事件は被害者を苦しめ続ける暴力 改めるべき置き去りの精神

有料記事終わらない水俣病 ノーモア・ミナマタ2次訴訟

聞き手・椎木慎太郎
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 原告全員を水俣病と認めた昨年9月の大阪地裁に続き、ノーモア・ミナマタ第2次訴訟の判決が熊本地裁で22日に言い渡される。公式確認から間もなく68年となるいまも被害者が闘い続けなければならない現実にどう向き合えばいいのか。環境史に詳しい藤原辰史さんに聞いた。

 大学院生の頃に石牟礼道子さんの「苦海浄土」を読んだのが、水俣病事件を知るきっかけでした。その後、今の職に就いてから雑誌編集者の紹介で石牟礼さんと対談させてもらい関心を深めていきました。

 私が専門とする環境史では「1950年代断絶説」という見方が登場しています。人口も、化石燃料化学物質などの使用量も急増し、地球環境を激変させたという捉え方です。日本では世界に先駆けて甚大な公害が発生し、被害が人々の体に及んでいった悪夢のような時期でした。それを象徴するのが水俣病でした。

 環境史家には、長い時間にわ…

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