祝い事に花添える春の一膳 菜の花とアサリの混ぜごはん
熊本の旬を美味しく 渡辺夏子の楽しレシピ
10年ほど前のことだったと思います。海外で活躍する和食の料理人の方が「伝統的な和食を作るのは飽きるんですよ。もう30年以上同じことをやっているから。また今年もか、と毎年思う。でも、やっぱり春のはしりの筍(たけのこ)や山菜を見るとホッと落ち着くから不思議です」。
当時私はまだ若く、あまり深く理解できなかったのですが、50歳を超えた今は何となく、繰り返すことの心地良さ、みたいなものが分かるようになりました。
ふきのとうが出たらアレを作ろう、そら豆はいつごろ並ぶだろうか?
贅沢(ぜいたく)な料理とは高価な食材を使うことではなく、食材を通して季節の巡りを楽しむことかもしれません。
さて、今回ご紹介するのは、春の訪れを告げる菜の花を使った混ぜごはん。
菜の花とアサリを一緒に炊き込まず、仕上げに加えることで風味と彩りが増し、しみじみとおいしく仕上がります。お祝い事にも花を添えてくれること間違いなしです。
■菜の花とアサリの混ぜごはん…