麗しき能登、ともに立ち上がろう J3金沢、新スタジアムで再起誓う

土井良典
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 北陸初のサッカー専用スタジアム「金沢ゴーゴーカレースタジアム」が18日、金沢市の金沢城北市民運動公園に開場した。ツエーゲン金沢とカターレ富山のJ3同士が、こけら落としの記念試合で対決。スタンドには大勢の観客が詰めかけ、能登半島地震からの復興を願う横断幕が揺れた。

 新スタジアムは、約80億円をかけ市が整備。収容人数は1万人とコンパクトで、スタンド最前列からピッチまでの距離が7~9メートルと近い。三方に屋根があるため、声援が場内にこだましやすいのが特徴だ。

 昨季J2最下位となり、今季は10季ぶりにJ3で戦う金沢と、昨季は最終戦でJ2昇格を逃した富山の北陸ダービーとなり、晴天の下、8566人が来場した。試合前には両クラブの選手が観客と触れ合いながら義援金を募った。

 キックオフの直前には、両チームの主将による「復興支援宣言」も。「いまだに安否不明、避難所で生活している方が数多くいる現状。僕たち選手は支えられてプレーしています。今度は僕たちが被災地のみなさんのサポーターとなります。僕たちは競技の上ではライバルです。しかし、愛するホームタウンの復興を前に、敵も味方もありません。両クラブで手を取り合い、被災地のみなさんの笑顔を取り戻していきます」と誓い、被災地に黙禱(もくとう)を捧げた。

 スタンドでは、金沢のサポーターが新たに作った応援歌の歌詞「麗しき 能登の街 我が誇り 愛し止(や)まぬ街 前を向き立ち上がろう 俺たちはいつも共にいる」を横断幕にして掲げた。コールリーダーの真野涼輔さん(29)は「サッカーで北陸を元気にしていく。きょうは能登応援の1歩目です」と語った。

 一方、富山のサポーターは「地震の継続的な支援、力を」などと書かれた横断幕を掲げた。選手の募金に応じた富山サポーターの村椿拓さん(27)は長男昊真(てんま)ちゃん(2)を連れ、「少しでも力になれたらと思った。金沢と一緒にJ2に上がりたい。それだけです」と願っていた。

 馳浩知事も来場し、「立派なスタジアムができた。防災の備蓄倉庫にもなっていて、まさしく能登半島を応援するにふさわしい所」と期待を込めた。

 試合は富山が4―1で勝利した。試合後、金沢の伊藤彰新監督は「すばらしいスタジアム。復興のためにも、僕らが積極的な姿勢、周りを元気するプレーをしたい」と語った。富山の小田切道治監督は「北陸2チームでJ3を代表できるよう、災害に元気や勇気を届けられるよう協力してやりたい」と語った。金沢の公式戦ホーム開幕は3月3日のFC今治戦。富山のホーム開幕は3月9日の奈良クラブ戦。(土井良典)

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