またも偉業達成、ライバルとの戦いは続く 藤井八冠から目が離せない

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杉本昌隆八段の棋道愛楽

 白熱の決勝戦や華やかな記者会見は、見る人の立場や「どこで見ているか」で抱く感情も変わるものです。現地の大盤解説場、自宅、外出先……。ネットの普及もあり、いつでも将棋を観戦できるのはありがたいことです。

 藤井聡太八冠がまたもや新記録を打ち立てたのは第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局。挑戦者・菅井竜也八段に4連勝でストレート防衛を決めると共に、大山康晴十五世名人が持つタイトル連続獲得・防衛記録の19連覇を越えて、20連覇を達成したのです。

 新記録の掛かった将棋は力戦でした。お互いに馬を作り合う乱戦含みで、これは菅井八段の誘導もあったでしょう。

 2日目、藤井王将の放った端の飛車打ちは視野の広さを感じる好手。完全に菅井八段の意表を突きました。中盤の急所で一手得が確定し、事実上ここで勝負は決したのかも知れません。有利になってからの藤井王将は勝ち急がず、手堅く勝利を決めました。

 またもや偉業達成の弟子。私は翌日の記者会見の様子を羽田空港のロビーにあるテレビで見ていました。実はその日に秋田県で仕事があり、ちょうど飛行機の待ち時間だったのです。

 何となしにそのニュースを眺…

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    高津祐典
    (朝日新聞文化部次長=囲碁将棋、文化)
    2024年2月15日17時15分 投稿
    【視点】

    敗れたあとの藤井聡太名人・竜王の二つの顔をみて、さすがだなと感じました。 第17回朝日杯将棋オープン戦の決勝戦、藤井名人は永瀬拓矢九段に敗れました。終局後に大盤解説会に登壇した藤井名人は、頭の中が将棋のことでいっぱいという感じでしたが

    …続きを読む