パーパスとは?その意味や注目される背景について解説
更新日:2025年08月13日
イラスト:山口カエ
【要約】「パーパス」を分かりやすく解説
- パーパスとは、企業の存在意義、社会における役割を宣言するもの
- 変化する社会でこそ、経営者と社員が一丸となれるパーパス策定が重要。企業発展の要!
- パーパス重視の企業選びが、仕事のやりがい・自己実現に結び付く
ビジネスシーンや経済ニュースで、「パーパス」という言葉を見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。
就職・転職活動において「企業選びの軸」としても意識されることが多くなっています。
経営理念、クレド、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)といった言葉との違い、注目されている背景、企業選びでパーパスを重視するメリットについて解説します。
パーパスとは? 正しい意味と類語との違い
パーパスとは、企業や組織、個人の存在意義、社会における役割を示すものです。
「パーパス」は英語の「Purpose(目的・意図・狙い、といった意味)」が由来です。ここから派生して、最近ではビジネスの場でも広く使われるようになってきました。
パーパスは、ビジネスシーンにおいては特に、経営戦略や企業方針に言及する文脈で使われることが多いと言えます。そういった場合のパーパスは、「企業や組織が、社会においてどのような役割を担い、どう存在するべきか」といったことを宣言する言葉として使われます。
パーパスと経営理念の違い
パーパスと経営理念は、いずれも企業の根幹をなす重要な概念ですが、その役割や内容には違いがあります。
パーパスは「なぜ存在するのか」「社会にどのような価値を届けるのか」といった、企業の存在意義や使命を示すものです。社会課題の解決や持続可能な未来への貢献など、企業が目指す理想的な方向性を示します。
一方、経営理念は、企業が事業に取り組む際の基本的な価値観や信念を明文化したもので、パーパスを実現していくための経営の土台として機能し、意思決定や組織文化の軸となります。
つまり、パーパスが経営の「目的地」であれば、経営理念はそこへ向かうための「考え方や姿勢」と捉えると、両者の違いがより分かりやすくなります。
パーパスとクレドの違い
パーパスとクレドは、どちらも企業の目的と行動に関する概念ですが、それぞれ焦点が異なります。
パーパスは、企業が何のために存在するのか、社会にどのような価値を提供するのかという、企業の社会的な存在意義や究極的な目的を表します。
一方、クレドはラテン語で「信条」や「約束」を意味し、全従業員が日々の業務で心掛けるべき具体的な行動指針を指します。パーパスを達成するために、社員一人ひとりがどのように行動すべきかを示す、実践的な規範です。
つまり、パーパスが企業の「目的地」であるのに対し、クレドはそれを実現するための「実践的な行動ルール」であると言えます。
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ミッション、ビジョン、バリュー(MVV)の意味と違い
パーパスと似たような文脈で使われることがある言葉として、ミッション、ビジョン、バリュー(MVV)の3つが挙げられます。
一つずつ、パーパスとの意味の違いを比較します。
ミッションの意味は、使命・責務・目標
ミッションは、英語の「Mission(使命・責務・目標)」からきている言葉。
パーパスにもミッションにも「目標」の要素が含まれるため混同されがちですが、この2つには明確な違いがあります。
パーパスが企業の存在意義を「定義し、明確にする」ためのものであるのに対し、ミッションは企業がパーパスの実現のために何をすべきか、どのような役割を果たすべきかという具体的な「使命」を表します。
パーパス実現のために、企業が果たすべき役割や目標を示すのがミッションであると覚えておきましょう。
ビジョンの意味は、未来像・視界・視野
この3つの中で、パーパスと一番混同されやすいのがビジョンかもしれません。
英語の「Vision」には「未来像・視界・視野」といった複数の意味がありますが、ビジネスシーンでは「企業や組織のあるべき未来像」の意味で使われます。
パーパスにもビジョンにも、「企業のあるべき姿」といった意味があります。この2つの違いは、パーパスが「今、企業がどうあるべきか」という現状の姿を定義するのに対し、ビジョンは「将来的に、どうなっていくべきか」という未来像を示しています。
バリューの意味は、価値・重要性
バリューの元となっている英語「Value」には、「価値」や「価格」、「重要性」といった意味があります。
ビジネスの場において、企業のパーパスや「パーパス経営」と同様の文脈で使われる場合には、「企業の価値」を意味します。
パーパスをきちんと実現できるか否かによって、企業そのもののバリューが決まってくる、とも言えるでしょう。
ビジネスシーンにおけるパーパスの使い方、例文3選
では実際に、ビジネスの現場でパーパスはどのように使われるのでしょうか。経営に関わる文脈でなくても用いられることもあるため、いくつか例文を挙げて説明します。
パーパス経営
パーパスには、社会における企業の存在意義を明確にするという意味があります。したがって「パーパス経営」とは、経営側と従業員が共に、同じ目的意識を共有しながら、パーパスの実現に向けて取り組む経営のあり方を指します。
使い方は、以下のとおりです。
- 例文:「企業が変わり続け発展するためには、パーパス経営が重要だ」
- 日本語で言い換えると:「企業が変わり続け発展するためには、明確に定義された企業の存在意義を軸に、経営をしていくことが重要だ」
企業経営においてパーパスは、企業自身の利益的な成長を一つの目的としつつも、社会の中でどう貢献できる存在であるべきなのか、という視点も必要です。
社会から末永く必要とされる企業であるためにも、重要なキーワードであると言えるでしょう。
パーパスは、描く?設定する?策定する?
経営方針などにパーパスを新たに作って導入することを、「パーパスを策定する」と表現します。使用例は、以下を参考にしてください。
- 例文:「経営方針の変更と共に、A社ではあらためてパーパスが策定された」
- 日本語で言い換えると:「経営方針の変更と共に、A社では企業の存在意義や社会的に果たすべき役割が再定義された」
大きく変化する社会の中で、企業がしっかりとパーパスを持ち、それに基づき方針・指針を定めることは大切です。
パーパスは、個人の考え方にも使える?
企業にとってはもちろん、パーパスは社会で働く一人ひとりにとっても重要視されるべき概念でしょう。
企業、ひいては社会で働く中で、自分たちの存在価値や社会的役割にも関係してくるからです。
このような考え方を例文にするならば、以下のようになります。
- 例文:「昨今は、就職・転職活動でもパーパスを重視する人材が増えている」
- 日本語で言い換えると:「昨今は、就職・転職活動でも企業の社会的な役割や存在意義自体を重視する人材が増えている」
時代の変化や働くことへの意識の変化を受けて、パーパスへの意識は今、ますます高まっていると言えるでしょう。
パーパスが注目されるようになった背景とは?
パーパスへの注目が高まっている背景には、さまざまな要因があります。
「時代の変化」や「働く環境やメンタリティの変化」という言葉がニュースやインターネットでも飛び交う昨今。
では一体、こういった変化とは何ものなのか? なぜこういった変化が、パーパスに注目が集まる要因となっているのか? 主な要因として取り上げられることが多いものを紹介しながら、解説します。
ビジネス環境の変化が著しい「VUCAの時代」の到来
「VUCAの時代」という言葉を聞いたことはありませんか?
VUCAとは、以下4つの単語の頭文字を取った、変化の激しい現代ビジネス環境を表すための言葉です。
- 変動性(Volatility)
- 不確実性(Uncertainty)
- 複雑性(Complexity)
- 曖昧性(Ambiguity)
近代まで引き継がれてきた一定の成功フォーマットが通用しなくなる、価値観自体が変化して同じやり方や理論が通用しない、という状況を表しています。
こういった「VUCAの時代」においては、以前にも増して経営方針や戦略を社会の変化や多様な価値観に応じて柔軟に見直していく必要性が出てきます。
同時に、社会とのつながりの中での動機付けや重要性を明確にするパーパスが重要となってきているのです。
ミレニアル世代、Z世代に見られる価値観の変化
「ミレニアル」(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)と呼ばれる世代と、その後に続く「Z世代」は、それ以前の世代とは異なる仕事観や価値観を持っている、というのもパーパスが注目される理由の一つとして挙げられます。
ミレニアル世代、Z世代は、自分自身が社会の中でどう貢献でき、存在意義はどうあるべきなのかを大切にするといわれています。
だからこそ、自分が勤める会社についてもパーパスを重視し、自分と価値観の合う企業を選択する傾向が強くなってきているのです。
投資家やステークホルダーの評価基準の変化
投資家や消費者、株主など、企業を取り巻くあらゆる関係者(ステークホルダー)からの信頼や共感を得るために、パーパスを明確にし、発信する必要が高まっています。
サスティナビリティやESG(※)への関心が高まる社会において、これらに取り組む姿勢を評価する動きが大きくなっているからです。
消費者に対しては企業イメージや認知度向上による売り上げ拡大、投資家に対しては積極的な投資に期待でき、企業の成長へとつながります。
※ESGとは
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス:企業統治)の頭文字を組み合わせた言葉で、この3つを重視する経営や活動を指します。
DXの推進により求められるスピード感のある意思決定
2020年からの世界的なパンデミックの影響もあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)はいまだかつてないスピード感で推進されています。
リモートワークをはじめとしたあらゆる場面で、今までとは異なる方法やスピード感で、意思決定や合意形成を行う必要が出てきているためです。そこで重要になってくるのが、パーパスです。
スピーディーに意思決定が行われるためにも、パーパスを組織に浸透させることが求められています。経営者や社員が一丸となって「自分たちの仕事にはどういった意義があり、何に貢献すべきなのか」について、ブレない決定・合意形成を行うことが求められるからです。
企業選びでパーパスに着目するメリット
就職や転職を考える際に、企業のパーパスに着目することは、自分のキャリアの方向性や働くうえでのモチベーションを明確にするために、大きな意味を持ちます。
企業のパーパスとは、単なる事業目標ではなく、「この会社はなぜ存在するのか」「社会にどのように貢献しようとしているのか」といった、企業の根本的な存在意義を表すものです。
そのパーパスに共感できるかどうかは、自分自身の価値観や人生観と仕事とのつながりを見つける手がかりになります。パーパスに共感できる企業を選ぶことで、働く意義を見失いにくくなり、中長期的なキャリアの軸もぶれにくくなるでしょう。
また、共通の目的意識を持つ組織の中で働くことは、日々の仕事への意欲やチームとの一体感にもつながります。その結果、自分の成長や社会への貢献を実感しやすくなり、キャリア形成にも良い循環を生み出します。
転職活動では、待遇や条件だけでなく、企業が掲げるパーパスにも目を向けることで、より納得のいく選択につながるはずです。
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【まとめ】パーパスに共感できる企業選びで、自己実現できる仕事に出合おう!
働く環境や社会情勢、IT技術が目まぐるしく変化する現代。だからこそ今、企業が掲げるパーパスにますます注目が集まっています。
変わる環境の中で自分自身を見失わないために、あなた自身も、社会の中で「自分の存在意義」という軸をしっかりと持っておきたいですよね。そして、やりがいや意義を持って働くために、企業のパーパスに対し、あなた自身が共感できることも重要です。
いま一度、自分自身のやりがいとは何か、どういった形で社会に貢献したいと思っているかを見つめ直してみるのも良いかもしれませんね。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
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