ゆるめるモ!が現体制初のフルアルバム「虚無泥棒」と、過去曲を現在のメンバーで再録したミニアルバム「ロクロクビ!」をリリースした。
「虚無泥棒」には、清竜人が初めてゆるめるモ!に提供した楽曲「真面目に生きて報われたいの♡」など14曲を収録。多彩なジャンルを飲み込んだサウンドや、あらゆるタイプの“生きづらさ”に寄り添って明るく肯定する歌詞など、多くの人々が思い浮かべる“ゆるめるモ!らしさ”は健在だが、新メンバーの加入によってそこに新たな化学反応が起きている。
「ロクロクビ!」に収められるのは、ゆるめるモ!の代表曲と言える「逃げろ!!」「id アイドル」「Only You」など6曲の新録バージョン。再録を経て「やっとゆるめるモ!の一員だと実感できた」と語る彼女たちの言葉の裏には、長い歴史を背負ったグループならではの思いがにじむ。
この記事ではメンバー6人に、これら2作品の制作秘話についてインタビューを実施。変化を続ける彼女たちの、未来への決意に迫った。また記事の最後には、清竜人からゆるめるモ!へのメッセージも掲載している。
取材・文 / 橋本尚平撮影 / はぎひさこ
夫人にはなりたいよね?
──アルバムのリード曲「真面目に生きて報われたいの♡」の作詞・作曲・編曲を清竜人さんが手がけたことは、ゆるめるモ!のファンの間でもかなりの反響があったように思います。皆さんはもともと、清竜人さんに対してどのようなイメージを持っていましたか?
なに 「めっちゃいい曲書くなあ。すごい人だなあ」って。でも関わることはないと思ってました。これまで清竜人さんが提供しているアイドルさんの曲を聴いても、ゆるめるモ!とは雰囲気が違うというか。もちろん関わることができてうれしいんですけど、それ以上にびっくりしています。まったく想像してなかったので。
へそ 実は私、清 竜人25と礼賛のツーマンライブが決まったときに「絶対に観に行きたい!」と思って、スタッフさんを誘って2人でチケット応募したんですよ。そしたら私だけ落選しちゃって。「絶対に行きたかったのに……」と落ち込んでいたときに、「清竜人さんから楽曲提供していただくことになった」というまさかのお話があって。
──すごいタイミングですね。
へそ あと、ちょうどそのときに、私自身がまさに「真面目に生きて報われたい」ってことを考えてたんですよ。その思いがガーッて高ぶって、一旦それを文字に起こしてみたんだけど、「でも、これは別に表に出す話じゃないな」と思ってしまっていたんです。そしたら次の日の朝に「真面目に生きて報われたいの♡」という曲が届いて。私は「こんなことあるんだ!」と運命を感じてしまって、すごくうれしかったです。
なに 私も夫人になりたいです。夫人にはなりたいよね?(笑) いいなって思います。楽しそう、ライブが。
まこと みんなニコニコしてる。
なに 全員が相思相愛、みたいな。竜人さんが全員のことを愛してそうで、女の子たちもちゃんと竜人さんのことを好きそうで、いいなって(笑)。
めあり 初めて見る形のアイドルだったので、知ったときは驚きましたし、面白いなと思いました。
撮り終えたと同時に雷が
──「真面目に生きて報われたいの♡」はミュージックビデオが制作されましたが、めありさんはウエディングドレスを着ての撮影でしたね。
めあり わちゃわちゃして楽しかったです。チャペルの中でパジャマで食パンをくわえてるっていう、おかしな世界で(笑)。
まこと 結婚式場って、お父さんお母さんとかが座るような席があるじゃないですか。その本当は真面目に座ってなきゃいけない場所で、椅子の上に立って踊りまくってるのが、ヤバすぎて楽しかったです。この先、人の結婚式に出て椅子に立って踊るなんて絶対にないと思うから、今のうちにやれてうれしかったですね。
らき 人生で一度は教会に行ってみたかったので、その小さい願いが叶ってうれしかったです。あとよく覚えてるのが、最後の野球のシーン。外で撮影したんですけど、撮り終えたと同時に雨がめっちゃザーザー降ってきて。しかも雷で、教会の隣にあった木が1本枯れました。
──えっ! 雷が落ちたんですか?
なに めっちゃ近くに落ちたんですよ。光った瞬間にドン!って。外の木を見たら、全部緑なのに1本だけ枯れててびっくり。
まこと 野球のシーンでは、なにちゃんがほうきをバットにして打つんですけど、雨が降ってきたから「次で決めてくださいね」って言われてて(笑)。ちゃんと一発で決めたから、すごい!って思いました。
なに 3回投げて2回当ててるんで(笑)。
「デスボとかやりたい」って言ったら
──らきさん、まことさんを加えた現在のメンバーでレコーディングしたアルバムはこれが初めてになりますが、以前からいるメンバーの皆さんは、アルバムを作っていて何か今までと違う感覚はありましたか?
めあり 「声が加わったな」とは感じました。もう慣れちゃったけど、最初は「耳の感覚が新しい」と思ってました。最近はレコーディングを重ねていくたびに、より2人の姿が強調されたように思えて、聴いていて楽しいです。
ねるん ちゃんと2人のキャラクターが追加されたなっていう印象はあります。うちら4人では表すことができないものが見えるし、幅が広がったと思います。
──新しく加入したお二人は、アルバム制作を振り返ってどうでしたか?
らき 加入して初めてレコーディングしたときは、まだ歌うことに必死だったんですけど、今回のアルバムは表現力をがんばりました。「エスケープダイブ」とか、手応えあります。
まこと らきちゃんと一緒ですけど、自分は最初に録った曲が「不死鳥火焔太鼓」だったんですよ。ああいう「カッコいい」っていう感じの曲だと、顔が緊張しちゃって。初めてのレコーディングってこともあって、余計に声も緊張してました。でも今回のアルバムでは、「忍者NOW」で法螺貝の音を口でやったり、最後に録った「虚無泥棒」では「ひっひー!」って言ったり、“歌じゃないこと”をやる機会が多かったんですよ。メンバーのみんなも「法螺貝、いいパートだね」って言ってくれて。
──担当パート、法螺貝(笑)。
まこと 最初のうちは対バンのときに法螺貝をやるのが恥ずかしかったけど、最近はちょっと誇りに思っています。褒めてくれる人がいるから、「声でどこまで表現できるかな」って楽しくなってきてます。
──「エスケープダイブ」では、らきさんと一緒にデスボイスも担当してますよね。
まこと 歌詞に普通に「デスボイスっぽい感じで」って書いてあって、「デスボイスっぽい感じ……?」って思いました(笑)。出し方もそんなにわかってないし。
らき 田家さん(プロデューサーの田家大知)に「デスボとかやりたい」って言ったら、「やれ」って言われました。
──おお、自分のやりたいことが楽曲に反映されたんですね。
らき そうです。
まこと でもさ、本当にやるとは思ってなかったよね。
らき 最初は戸惑いました。
──自分が言い出したのに(笑)。「エスケープダイブ」は実際にライブで観て、すごくステージ映えする曲だと思いましたし、本人たちにとってもきっと手応えがあったんじゃないかなという気がしました。
らき 新曲がいっぱいある中で、一番手応えあるのは「エスケープダイブ」でした。全身で表現を出せる曲だから。
次のページ »
「今までのはなんだったんだろう」って気持ちに
 
 
 
 
 
 
 
                         
                         
                         
                         
                         
             
             
             
             
             
             
            




 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                    