家電レビュー
サンコーの超小型お手頃エスプレッソメーカーでアイスコーヒーが簡単おいしい
2025年7月29日 10:05
在宅ワークで毎日コーヒーを飲んでいると、たまにエスプレッソを飲みたくなります。なるべく手軽に淹れられるものがよいですが、エスプレッソマシンはいずれも高額で大型なモデルが大半。一人でたまに飲むだけだから、そこまでして導入するのはちょっとな……と躊躇していました。
そんななか見つけたのが、サンコーの小型エスプレッソメーカー「ミニバリ ESPR25HBK」。超小型で1人分のエスプレッソの抽出が可能と、まさに私の需要をピンポイントに満たしてくれる1台。
さらに驚くべきは、公式通販価格が12,800円という点。一般的なエスプレッソマシンはミルなしでも3万円以上することを考えると、非常にリーズナブルな価格設定です。
これは革命的なアイテムなのでは……? という期待を胸に、実際に使ってみました。使い勝手に少々難はあるものの、暑い夏にうれしいアイスエスプレッソが簡単に淹れられるなど、手軽に使える点がよかったので紹介します。
驚きの超小型サイズ
サイズは超小型で、高さは500mlのペットボトルと同じくらい。奥行きは高さの半分ほど。「本当にエスプレッソマシン?」と疑うほどのコンパクトさです。
エスプレッソマシンは高圧・高温を生み出すための機構が必要なため、軒並み本体が大きくなりがち。毎日飲むならスペースを確保する価値がありますが、たまにしか飲まない場合はスペースの問題で断念せざるを得ないことが多いでしょう。
「ミニバリ」は収納スペースをあまり取らないので、普段はしまっておいて、必要な時だけ取り出して使える点が画期的。
一度に作れる抽出量は約50ml〜140ml。最大で小型の紙コップ1杯分ほど。連続使用すると内部過熱による動作停止の可能性があるため、使用後は30分の休止が推奨されています。そのため、完全に1人用と割り切った使い方になりそうです。
全自動ミルは付属していないため、豆は別のミルで挽くか、粉で購入する必要があります。なお、エスプレッソには極細挽きの均一な粒度が必要で、一般的なドリップコーヒー用のミルでは対応できません。
操作は簡単だが、使い勝手に気になる点も
「ミニバリ」は操作自体は簡単で、基本的には水とコーヒー粉をセットしてボタンを押すだけ。ただ、使い勝手に気になる点がありましたので、ひとつずつ工程を振り返ります。
まず、フィルターホルダーに計量スプーンでコーヒー粉を入れ、タンパーで平らにならします。粉がこぼれやすいので、トレイの上で作業するなどの対策をしておくと、後の掃除がラクでした。
次にフィルターホルダーを組み立てて、ヘッドにフィルターを取り付けます。
続いて、水タンクに水を入れてフタをします。水タンクの取り外しはできませんが、本体は片手でも持てるくらい軽いので、直接水道から給水することも可能です。
水を注いだら、フィルターの下にカップを置きます。高さを調整するためのカップトレーなどがなく、抽出口からカップまでの距離があるため、そのまま抽出すると液体がカップの外に跳ねる可能性がありました。
そのため、高さを調整するための台を自分で用意する必要があります。ちょうどよい高さの台を探すのはかなり面倒です。ティッシュ箱は高さがちょうどよく、身近にあるので簡単に使えますが、コーヒータイムの情緒が損なわれるというデメリットも。
電源コードを差して、85〜95℃の範囲で好みの温度に設定。ホットのマークを長押し(3〜4秒)すると抽出開始します。抽出完了時にはお知らせ音がないため、完成したかどうかは目視で確認する必要があります。
抽出時間については、60ml/95℃の設定で約2分30秒、150ml/95℃の設定で約5分かかりました。それほど長く待たずに完成するので、忙しい朝の時間帯にも使いやすいでしょう。水量が少なく設定温度が低いほど、抽出時間は短くなります。
気になったのは、抽出後に液だれがあること。とくに「ミニバリ」の場合はトレーがないため、別に受け皿を用意するのが手で、洗い物が増えてしまうのも難点でした。
使用後のお手入れはラクで、基本的にはフィルターホルダーとフィルターフタを洗うだけでOK。
ただし、抽出後に水タンクのなかに少しだけ水が残ります。本体は水洗い不可なので、衛生的に気になる場合は、使用後は拭き取る必要があるでしょう。
使い勝手に関して気になる点はあるものの、全体的にラクで、毎日使うことにおいて大きな不便はないと感じました。しかし、高さ調整や液だれに対して追加の道具が必要になるのは、スマートさに欠け、コーヒーを飲むという体験の楽しさを少し損なう印象でした。
濃い味のコーヒーが好きならいいかも
「ミニバリ」は、業務用のエスプレッソマシンと同じ9気圧を採用しています。ただし実際に淹れてみると、表面にクレマは見られるものの、理想的なクレマのような全体を覆う2〜4mm程度のしっかりとした厚みはなく、やや薄い印象。また、毎回キレイなクレマが安定してできにくく、抽出にムラがありました。
味については、エスプレッソ特有の濃縮感やクリーミーさがやや物足りない印象です。また、エスプレッソ本来の複雑な香りが少し感じにくく、余韻も比較的すっきりとしていました。
どちらかというと、マキネッタで作るモカコーヒーに近い味わいといえるでしょう。水量60ml、粉の量14gで抽出すると、強い苦味のコーヒーが楽しめるため、そのような味わいを好む方には適しているかもしれません。筆者は苦いコーヒーが好きなので、時々飲みたくなる味だと感じました。
なお、「ミニバリ」にはアイスモードも搭載しており、手軽にアイスエスプレッソが淹れられます。作り方は基本的にホットと同じで、抽出する際に「アイスモードボタン」を長押しすればOK。水が加熱されない状態で自動的に抽出されます。
水を冷却する機能はないので、冷たくする場合は氷などを入れて調整する必要があります。
アイスモードは、けっこうお気に入りです。ホットよりもすっきりとして飲みやすく、もともと味が濃いため、氷を入れても薄さを感じることなく美味しく飲めました。水を温める工程がない分、抽出時間も短く1分30分で抽出完了。これからの暑い季節に手軽にアイスコーヒーを作りたい時には重宝しそうです。
「ミニバリ」は、本格的なエスプレッソマシンで抽出したものと比較すると、やや味わいに物足りなさを感じるため、完全な代用品とはなりませんでした。ただ、超小型というメリットは大きく、極細挽きの豆でコーヒーを淹れられるため、ガツンとした苦味のあるコーヒーを飲みたい時に手軽に使えるのはよいなと思っています。