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ビットコインの「サトシ・ナカモト」が自らの正体を隠した巧妙な手口

Getty Images

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ブロックチェーンを考案し、ビットコインを生み出した謎の天才サトシ・ナカモトの正体とは?

「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーを邦訳した『サトシ・ナカモトはだれだ?』(河出書房新社)から一部引用・再編集してお届けする。


ナカモトは居住地を日本としていた

「それで、サトシが誰かご存じなのですか?」と私は尋ねた。

もし誰かが正体を知っているのなら、それはギャビンに違いない。

「彼の本名は知らない」とギャビンは答えた。「いつか彼が匿名をやめて、彼に会えることを期待しているけど、それは無理だろうね」

ギャビンと他の開発者たちは、いくつかの点で意見が一致していた。ナカモトが自分のホワイトペーパーを発表した2番目の場所は、あらゆる種類のP2Pネットワークのために尽くす理想主義的な非営利団体、P2P財団のウェブサイトだった。

そのプロフィール上で、ナカモトは居住地を日本としていた。しかし誰も、彼が日本人だとは思っていなかった。彼の英語は完璧で、ネイティブスピーカーのように柔軟で自信に満ちたものであり、英国人もしくは少なくとも英連邦圏の出身者であるように聞こえた。

ジェネシスブロック(最初にマイニングされたビットコインのデータ群)にはロンドン・タイムズ紙の見出しが組み込まれており、ビットコインのソースコードや、ビットコイントークへの投稿の中でも、ナカモトは「colour」や「optimise」のような英国式のつづりを好んで用いていた。そのロンドン・タイムズ紙の見出しは、「Chancellor on Brink of Second Bailout for Banks(財務大臣、銀行への2度目の救済措置を実施へ)」というものであり、それこそがナカモトの動機を示唆していた。

また、ナカモトが自らの正体をいかに厳重に隠していたかも注目に値する。

彼が「bitcoin.org」というドメインを登録した際には、匿名化サービスのanonymousspeech.com を利用しており、このサービスへの登録自体も、東京の短期滞在用住宅仲介業者を経由して行われていた。またこのサービスは、利用者にvistomail.com のメールアドレスを提供しており、それにはメール送信日時を操作できる機能があった。

次ページ > ナカモトが使用していた3つ目のメールアドレス

文=ベンジャミン・ウォレス 、訳=小林啓倫

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