2008年に「ふるさと納税」制度がスタートしてから17年。住民税の控除を受けながら地域ごとの返礼品がもらえるという制度に加え、仲介サイトごとのポイント還元も追い風となり、さらなる人気を集めてきた。しかし、仲介サイトの“ポイント競争”の過熱ぶりが、「“地域貢献”という本来の趣旨にそぐわない」とされ、2025年9月をもってポイント付与は廃止となった。

 ポイント付与がなくなったことで、寄付者にとって仲介サイトの選択は難しくなった。ただ逆に言えば、これまで“ポイント重視”で選択してきた仲介サイトを見直し、寄付のしやすさや返礼品といった軸に立ち返って選ぶチャンスでもある。

満足度No.1サイトが打ち出す、“ならでは”の企画

 そんな中、仲介サイトの中で高い評価を受け続けているのが、ANAグループが提供する「ANAのふるさと納税」だ。同サイトは2025年 オリコン顧客満足度®調査 ふるさと納税サイトで3年連続4度目の1位に輝いており、「サイトの使いやすさ」や「返礼品の魅力」、「コンテンツの充実さ」など全5項目の評価項目で構成されたランキングで総合1位を獲得。「地域振興への貢献」という項目でも、前回70.9点を1.2pt上回る72.1点となった。
※調査対象企業24社。詳しくはこちら

ANAのふるさと納税」トップページ

「航空会社はお客様を乗せて目的地に向かうと同時に、貨物も乗せてモノも動かしています。人とモノを各地にお運びするだけではなく、地域の想いも運びたいという想いで『ANAのふるさと納税』を運営しています」

 そう話すのは、ANAあきんど株式会社ANAふるさと納税部部長の前田誠さんだ。今年で10年目を迎える同サイトは、これまで多くの利用者の支持を獲得してきた。寄付額に応じたマイル積算サービスがその牽引力の一端を担っていたのは事実だが、10月から同サービスがなくなった今だからこそ、ANAならではの企画を打ち出していく方針だという。

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前田誠さん

 地域とコラボレーションした「ANAオリジナル返礼品」もその一つだ。たとえば、スリッパ生産量で日本一を誇る山形県河北町の「ANA特製ルームシューズ」は、航空機の座席で実際に使用されていた「シートカバー」を材料として、職人が丁寧に加工している。

 また、川崎重工の工場がある岐阜県各務原市では、同地の工場で製造するボーイング767の胴体部分の端材でキーホルダーやペントレー、バインダーなどを作り、返礼品として提供している。

山形県河北町の「ANA特製ルームシューズ」(左)と岐阜県各務原市の「B767 川重・ANAコラボアップサイクルパスケース横型」。※返礼品は寄付受付を終了している場合や、在庫がない場合があります

「どちらも本来は廃棄される機材の一部を使ったアップサイクル品です。安全性などもしっかり担保された商品にするには苦労もありましたが、さまざまな地域のご協力があって、ANAにしかない返礼品が完成しました。大量に作ることはできませんが、ご好評をいただいています。」

食品を選びたい人にオススメの「熊本県産はちべえトマトを使ったハッシュドビーフ」(熊本県八代市)。ANA国際線ファーストクラスの機内食を担当するシェフが監修している一品。※返礼品は寄付受付を終了している場合や、在庫がない場合があります

即完必至! 特殊車両に乗れる特別な“空港ツアー”も

 また、2024年から提供されている「空港グランドハンドリング(通称:グラハン)ツアー」も見逃せない。主に一般の人が立ち入ることのできない制限エリア内で業務を行っている「グランドハンドリング(地上支援業務)」を見学でき、プランによっては特殊車両への乗車体験なども含まれる。プロフェッショナルな技術を持ったスタッフのチームワークを間近で体感できる、まさにANAならではの特別な返礼品だ。

「これは、実は成田空港のグラハンスタッフからの声で実現したツアーなんです。空港の運営は、管轄する国や県の協力が不可欠。ふるさと納税による寄付は半分が地元自治体の税収になります。ツアーによって寄付者は他にはない体験ができ、自治体は税収が増える。現場で働くグラハンスタッフにとっても、飛行機が安全に、時間通りに飛び立つために欠かせない自分たちの業務を身近に感じてもらえる、またとない機会になっています」

空港でのグランドハンドリング。※空港によりツアー内容は異なります。詳しくは返礼品ページをご確認ください。※返礼品は寄付受付を終了している場合があります ©2025 All Nippon Airways

 昨年度は成田空港(成田市)でツアーを開催。本年度は関西国際空港(大阪府泉佐野市)や九州佐賀国際空港(佐賀市)、中部国際空港(愛知県常滑市)でも実施予定だ。今後も全国各地の空港で開催予定となっているが、寄付は先着順のためこまめにチェックしておきたい。

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 さらに「ANAのふるさと納税」では、新たな試みとして「ANAふるさと体験プログラム」を開始した。これはふるさと納税の返礼品ではなく、同サイトの会員であれば誰でも参加可能なプログラムとして、「大人の好奇心」「親子」「ANA」をキーワードに、その場所でしかできない体験が日本各地で用意されている。
※応募多数の場合は抽選となります。

 初回で募集されたプログラムには、「八代海漁業無人島上陸体験」(熊本県八代市)、「北前船豪商の即席、酒田舞娘、アートをめぐる酒田さんぽ」(山形県酒田市)、「ANA Blue Hangar Tour ANA 機体工場見学」(東京都大田区)など多彩なラインナップが並ぶ。

山形県酒田市でのプログラムに含まれる「酒田舞娘」

「ANAでは、全国各地で働く社員が各地域とのつながりを持っています。また、地方に拠点を移して暮らしながらCAとしての業務も行なう『ANAふるさと BLUE Ambassador』も、独自のネットワークを築いています。それらの強みを活かして、他にはない体験プログラムを用意しました。

 たとえば、鹿児島県霧島市では、霧島茶の新芽摘み取りに加えて釜炒り体験までできるというプログラムを用意しました。体験場所のお茶屋さんは通常はお茶を売っているだけなんですが、霧島市に移住したCAが勤めているという縁で特別に実現しました」

人気上昇中の「旅の返礼品」で“コト消費”のふるさと納税を

 これらの体験プログラムは、全国の人が現地に足を運び、体験を通じてその地域やそこで暮らす人々に触れてもらうことが目的だという。そのため現地集合・解散のモニター体験となっていて、プログラム参加後はアンケートに協力してもらい、その声を地域にフィードバックするという。

「ふるさと納税に参加している自治体さんは、特産品を送るだけではなく、寄付者さんに地域のことを知ってほしい、できれば来てほしいと思っていらっしゃいます。人の往来や物流を担う航空会社として、お互いを繋ぎ合わせたいと思い、このプログラムを用意しました。

 体験プログラムは今後、四半期に1回のペースでさまざまな内容のものを提供していく予定です。当サイトに興味を持っていただく、また実際にその地域に訪れる人が増えるきっかけになればと思っています」

「ANAのふるさと納税」サイト内には、各地のCAがセレクトした返礼品を紹介するページも。選択肢が多すぎて選べないという人にもぴったり。※特集ページは公開終了している場合があります

 同じように、寄付先に足を運んでほしいという想いから用意している「旅の返礼品」も数年前から人気が上昇しており、こちらも継続して提供していく予定だ。ANAのウェブサイトで予約できる「ダイナミックパッケージ(航空券+ホテルのセットプラン)」や「トラベラーズホテル(宿泊)」の支払いに使える「ANAトラベラーズクーポン」と、旅先の飲食や宿泊など、地域内の加盟店で利用できる電子クーポン「ANAの旅先納税」があり、いずれも全国各自治体の返礼品として提供している。

「『旅の返礼品』は電子クーポンをお届けするため受け取りまでの期間が短く、自治体にとっては送料や梱包等のコストや手間がかかりません。こうした利便性もふまえ、今後さらに利用が拡大することを期待しています」

 地方の特産品が送られてくる返礼品も楽しいけれど、現地に赴き、そこでしかできない体験をしたり、その土地の魅力を堪能したりする“コト消費”の返礼品なら、きっとお金では買えないものが得られるはず。ふるさと納税制度を上手に活用して、全国各地のまだ見ぬ魅力を探しに行ってみよう。