読者諸兄もご存じの通り、政治運動を理由に逮捕された場合、完全黙秘(※取り調べで警察官の問いかけすべてに対し何も反応せず供述しないこと)せねばならない。これは捕まって最初の弁護士との接見でも言われることだし、政治運動とはまったく関係ない文脈での弁護士の講演会でも「もし捕まったら黙秘しましょう」と言われるほどの”被疑者の常道”である。完全黙秘というのは、自分の身を権力から守るための唯一にして最大の防御策であることは多くの弁護士が口を揃えて一致するところである。というのも、取り調べで喋った内容は供述調書にまとめられるのだが、その際、私たちの一言一句が正確に記録されるのではなく、警察官が発言内容の要旨をまとめて調書にしたためる。当然彼らは速記術の達人ではないので、どうしても警察官の主観が入った要約になってしまう。もちろん彼らは逮捕するくらいだから、私たちのことを犯罪者だと思っている。そんな結論あり