リニア中央新幹線のトンネル工事の影響で、岐阜県瑞浪市の大湫(おおくて)地区の地下水位が約60m低下。何百年も枯れることのなかった井戸が干上がった(資料1)。地下水位を回復させる方策は見つかっていない。 資料1■ 300年以上の歴史があり、これまで枯れたことがないと言われる「天王様の井戸」。水がなくなっている。2025年9月撮影(写真:日経クロステック) 「地下水位が低下するのは早いが、回復には非常に長い時間がかかる」。こう指摘するのは、岐阜県環境影響評価審査会の会長を務める岐阜大学工学部の神谷浩二教授だ。それだけに、地下水位低下の兆候があれば、いち早く対策を講じる必要がある。 JR東海が瑞浪市でリニアの「日吉トンネル」をNATMで掘削していた2024年2月20日、同社の設置した観測井で水位低下を確認した。日吉トンネルの湧水として、地下水が流出していると考えられた。 しかし、掘削箇所の地盤が