今年5月、1人の受刑者が代理人の弁護士をつけず、塀の中から自ら裁判を起こし、国の責任を認めさせるという異例の判決を勝ち取った。どうやって闘ったのか。仮出所したばかりの本人に聞いた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介) ●ビットコイン詐取で懲役7年 八木橋健太郎さん(39)は、約2億円相当の仮想通貨「ビットコイン」をだまし取ったとして警視庁に逮捕され、2019年9月に懲役7年の実刑判決を受けた。 服役中は、まず喜連川社会復帰促進センター(栃木県)に収容され、その後、長野刑務所(長野県)を経て、今年7月末に加古川刑務所(兵庫県)から仮釈放された。 ●「ひげ剃り拒否→強制」は違法、本人訴訟で国を提訴 もともと金属アレルギーがあった八木橋さんは、喜連川社会復帰促進センター入所後に、電池式カミソリでのひげ剃りを拒否した。 すると、職員2人に両腕を押さえつけられ、別の職員に無理やりひげを剃られたうえ