「生成AI=悪というわけではなく、それに適したツールやモデルをどういう範囲・責任で使うかまでを含めた設計が大切」――セガの横島太志氏は、横浜市で開催中のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」にて、同社の生成AI活用のガバナンス体制を紹介する講演に登壇。リスクを抑えながら、AIを効果的に活用するための取り組みを解説した。
7月22日の講演では、セガの横島氏(コーポレートデベロップメント本部企画調査部テクニカルディレクター)と、矢儀篤樹氏(技術本部テクニカルディレクター兼開発技術部部長兼技術統括室副室長)が登壇した。
矢儀氏は、ゲーム開発における生成AI活用の現状について「70〜80%のゲーム開発者がAIを使っているという情報も出ている。AIを使わないでモノを作るのは難しい状況」と分析する。一方、AIの利用にはさまざまなリスクも伴う。そのためセガでは「今まで以上にクリエイティブな活動に専念できる、もしくは繰り返しの作業を防ぐ」ことを目指し、「誰もが安心安全にAIを使える環境」を整備してきた。
具体的には、社内に組織横断の「生成AI委員会」を設立し、AI活用に関するガイドラインを2024年4月1日に全社に公開した。また、AIに関する問い合わせ窓口を一本化。内容に応じて、技術や法務、知的財産などの部門担当者に割り振る仕組みを導入し、対応のノウハウを蓄積できる体制を整えた。
生成AI委員会には、社内のAIツール開発などを担うチーム「AIタスクフォース」も参画する。要望に応じたAIツールの提供や、AI技術の調査などに対応。他にも、ゲーム配信プラットフォームからのAI利用に関する情報の開示請求などに応じるため、北米やヨーロッパ各地の広報とも連携しているという。
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