小売事業者にとって、Instagram(インスタグラム)は購買につなげる有効な手段の一つです。投稿に商品タグを付けておけば、ユーザーはストーリーズやフィードなどで気になった商品の詳細をその場で確認し、数タップで購入画面に飛ぶことができます。この仕組みを支えるのが、インスタグラムのショッピング機能です。
この記事では、インスタのショッピング機能を利用するメリットや要件、設定方法、成功させるためのコツなどをまとめました。これからインスタショップを開設したい事業者はぜひ参考にしてください。
📝この記事のポイント
- インスタショップはユーザーに購買を促す強力な仕組み
- ショッピング機能の利用条件と禁止商品を理解することが必須
- インスタショップの開設は要件確認、商品登録、審査の簡単3ステップ
- 成功させるには投稿の工夫、ブランドストーリーの発信、ファンとの関係構築が不可欠
- ネットショップを持っていない事業者でも、Squareを活用すれば無料で簡単にスタート可能
目次
- インスタショップの特徴と開設するメリット
・インスタのショッピング機能でできること
・インスタショップを開設するメリット - インスタショップを開設できる条件
・対象の国に所在していること
・禁止されている商品を扱っていないこと
・審査に受かる必要がある - ショッピング機能の設定は簡単!インスタショップの開設方法
・ステップ1. 利用要件を確認する
・ステップ2. 販売したい商品をコマースマネージャに登録する
・ステップ3. 審査を待つ - インスタショップを成功させるための4つのコツ
・(1) フォロワーを増やすために投稿を工夫する
・(2) ストーリーズやインスタライブを活用する
・(3) コメントやDMにこまめに返信する
・(4) 受注の増加を視野に入れておく - 無料でインスタショップを開設する方法
・インスタと簡単に連携できるSquareのネットショップ
・お手軽な会計リンクで販売する手も - よくある質問 (FAQ)
・インスタのショッピング機能は手数料がかかる?
・インスタに商品のカタログが表示されない場合、どうしたらいい?
・インスタショッピング機能の審査期間はどれくらい? - まとめ
インスタショップの特徴と開設するメリット
Instagramのショッピング機能とは、Instagramに投稿された画像や動画から数タップでネットショップの商品購入ページに飛べるよう設定できる機能です。まずは機能の特徴やメリットを理解しましょう。
インスタのショッピング機能でできること
インスタグラムのショッピング機能1で利用できることは主に次のとおりです。
- アカウント内にショップを作成:プロフィール画面に「ショップを見る」ボタンを設置し、商品一覧をカタログ形式で表示できます
- 投稿に商品タグを追加:フィード投稿やストーリーズ、リールに商品タグを付けることで、ユーザーをネットショップの商品ページに誘導できます
ショップ内では、コレクションといって商品をまとめたり、商品詳細ページを設定したりすることも可能です。こうすることで、ユーザーはインスタ上で商品やブランドについて詳しく知ることができます。
インスタショップを開設するメリット
インスタグラムのショッピング機能を使う最大のメリットは、発見から購入までの動線が短くなることです。ユーザーが商品の投稿を見て「いいな」と思っても、商品情報を自分で検索したりネットショップ内で商品画面を探し出したりするまでには時間と手間がかかります。忙しい人ほどそのステップは後回しになり、その間に商品への興味が冷めてしまうかもしれません。たとえ興味を持ち続けても、「あとでやろう」と思っている間に商品名やショップ名を忘れてしまい、結局購入ページまでたどり着けないことも考えられます。
投稿に商品タグを付けておけば、ユーザーが「いいな」と思った瞬間に商品情報をその場で確認したり、購入ページにスムーズに遷移したりできるため、売り上げの機会を逃しません。
インスタショップを開設できる条件
Instagramのショッピング機能を利用できる国や販売できる商品には制限があります。まずは自分のビジネスが対象かどうかを事前に確認しましょう。
対象の国に所在していること
日本に所在する事業者はインスタグラムのショッピング機能を利用できます2。一方、2025年8月時点では中国やベトナム、シンガポール、マレーシアなどではこの機能がサポートされていません。たとえ日本を拠点とする事業者であっても、これら利用対象外の国に滞在している間は商品のタグ付けなどショッピング機能を使えない可能性があります。
また、投稿に商品タグを付けても、対象外の国のユーザーには表示されません。そのため、海外向けのネットショップを運営している場合は注意が必要です。
禁止されている商品を扱っていないこと
インスタショップでは、販売できる商品に制限があります。
販売できない商品の例
- 成人向け製品
- アルコール
- 使用済みの化粧品
- 動物
- デジタルコンテンツ
- 医薬品
- タバコ製品
制限されている商品の例
- イベントのチケット
- ギフトカードやクーポン
- ペットの里親マッチングサービス
詳細はMetaの利用規約とポリシー3をご確認ください。
審査に受かる必要がある
インスタグラムのショッピング機能の利用を申請すると、Metaによるアカウント審査が行われます。審査の基準は非公開ですが、利用要件をすべて満たしていることが必須のようです。利用要件は次の章で詳しく解説します。
また、アカウントの投稿やフォロワー数が極端に少ない場合も、審査に不利になるといわれます。そのため、アカウント開設直後の審査は避けた方がよいでしょう。
ショッピング機能の設定は簡単!インスタショップの開設方法
Instagramでのショップ開設は簡単です。ここではまず、全体のステップを把握しましょう。
ステップ1. 利用要件を確認する
インスタグラムのショッピング機能の利用には、要件4があります。以下の利用要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
①Instagramのポリシーに準拠している
作成したビジネスアカウントは、Instagramの利用規約5およびMetaのコミュニティ規定6に準拠している必要があります。コミュニティ規定には、インスタグラムの投稿で認められない行為が定められているため、必ず確認しましょう。
なお、Metaが定める各種ポリシーに違反した場合は、ショッピング機能が利用できなくなったり、アカウントが停止されたりすることがあるため注意が必要です。
②アカウントがネットショップと紐づいている
インスタショップには決済機能が備わっていないため、商品の決済はネットショップで行うことになります。そのためインスタグラムのショッピング機能を利用する前提として、ネットショップの開設が不可欠です。なお、ネットショップのURLをMetaと連携させる際に、ドメインの認証プロセスで自社のURLであることを確認される場合があります。
③インスタのショッピング機能を利用できる国に拠点がある
前の章で説明したように、インスタグラムのショッピング機能には利用国の制限があります。日本国内に拠点を持つ事業者が、日本国内で利用する場合は問題ありません。
④信頼性を示せる
インスタショップを利用するプロアカウントが信頼できるものであると示す必要があります。フォロワー数がその一つの基準になるようです。
⑤正確な商品情報を提供している
インスタグラムのショッピング機能を利用するには、商品の価格、在庫情報など正確な情報が必要です。また返金および返品ポリシーを明確に表示してすぐに参照できる状態にしなくてはなりません。
なお、ショッピング機能は個人アカウントでは利用できません。インスタグラムを個人アカウントで利用している場合は、プロアカウント(事業者の場合はビジネスアカウント)に変更しましょう。
ビジネスアカウントの作成方法はこちら
のヘルプセンター記事を参考にしてください。
ステップ2. 販売したい商品をコマースマネージャに登録する
利用要件を満たしていることを確認したら、次はMetaビジネスマネージャ7でビジネスアカウントを作成し、インスタのビジネスアカウントとFacebookビジネスページを連携させましょう。これを行って初めて、インスタショップに不可欠なコマースマネージャ8を使うことができます。
コマースマネージャは、ネットショップのURLの登録や商品情報の登録など、販売をはじめるためのさまざまな設定ができる管理ツールです。また、カタログの管理もコマースマネージャ上で行います。
商品情報を登録する際には、既存のネットショップ内の情報をそのままインポートすると商品を一つずつ登録する必要がないため、作業の効率が大幅に上がります。商品情報はCSVなどのファイルからインポートできるほか、ネットショップ作成サービスで連携の設定を行って取り込むことも可能です。
なかにはこの連携ができないネットショップもあるので、利用しているサービスのウェブサイトなどで確認すると安心です。ネットショップ側での設定が完了したら、コマースマネージャにある「カタログ」から「データソース」にアクセスし、問題なく商品を登録できたかをチェックしましょう。
ステップ3. 審査を待つ
インスタグラムのビジネスアカウントとFacebookビジネスページの連携が終わり、コマースマネージャ上でカタログを作成したら、ショッピング機能利用のための審査がはじまります。なお、この段階でドメイン認証が行われる場合もあります。
審査に通過すれば、インスタグラムのアプリに通知が届き、フィード投稿やストーリーズ、リールに商品タグを設定できるようになります。
インスタショップを成功させるための4つのコツ
ここからは、Instagramのショッピング機能をより効果的に使うためのポイントを四つ紹介します。
(1) フォロワーを増やすために投稿を工夫する
インスタグラムではフォロワーが増えれば増えるほど情報を届けられるユーザーの数も多くなります。事業者やブランドにとって、インスタのフォロワーを増やすとはファンを増やすことです。そのため、投稿では「売れ筋商品」「人気No.1」などあおるような言葉を多用して広告色を前面に出すよりも、ブランドストーリーや商品の世界観を打ち出すことを意識するとよいでしょう。
たとえば、単なる商品の写真だけでなく、利用シーンやビフォーアフターを通して「その商品が叶えるもの」を伝えれば、ブランドや商品への共感が生まれやすくなります。また、作り手の思いや裏側を伝えるのも効果的です。
また、視覚的な統一感も意識しましょう。投稿にはある程度定型を設けておくことで、一貫したイメージを保てます。ネットショップと同じカラーやトーン、フォントを用いれば、インスタショップからネットショップへと遷移しても同じ印象を保てるため、よりシームレスな購買体験が実現するでしょう。
投稿のタイミングも重要です。Instagramインサイトを活用すれば、フォロワーが最もアクティブな時間帯などを知ることができるため、効果的な時間を狙った投稿が可能になります。また、投稿を定期的に継続することでアルゴリズムの評価とユーザーの期待の両方を高められるため、前もって投稿スケジュールを決めておくとスムーズです。
ハッシュタグの活用も効果的です。ハッシュタグを付ければ、アルゴリズムが投稿内容を把握しやすくなり、検索結果や虫眼鏡マークの発見タブで表示される可能性が高まります。ブランド専用のハッシュタグを作れば、ユーザーが投稿で使いやすくなり、ユーザー生成コンテンツが増え宣伝効果も期待できるでしょう。
(2) ストーリーズやインスタライブを活用する
すでにフォローしてくれているユーザーに対しては、ストーリーズやインスタライブを積極的に活用しましょう。
ストーリーズは24時間で消える投稿で、通常のフィード投稿とは異なりリポストが可能です。フォロワーがタグ付けしてくれたフィード投稿や、開封あるいはレビュー動画をストーリーズでリポストすることで、ブランドへの信頼やエンゲージメントの向上が期待できます。
また、ストーリーズにはスタンプと呼ばれる機能があります。カウントダウンスタンプを使って新製品発表や時間限定セールを告知したり、アンケートや質問スタンプで意見を募ったりすれば、フォロワーとの距離が縮まり、ブランドをより身近に感じてもらえるはずです。
あわせてInstagram Liveも活用すると効果的です。これはライブ配信を行える機能で、視聴者からのコメントをリアルタイムで受け付けながら商品について説明したり、質問に直接答えたりできる機能です。定期的に実施すれば、ユーザーはより安心してショッピングを楽しめるでしょう。
(3) コメントやDMにこまめに返信する
インスタグラムはお客さまとのコミュニケーションの場としても重要です。商品に関する質問のDMや投稿へのコメントには積極的に返信しましょう。こうしたやり取りは、ユーザーの安心感につながるだけでなく、アカウントの認知を広げるうえでも効果的です。
コメントのやり取りを含むエンゲージメントが増えれば、投稿が発見タブに掲載される可能性が高まります。また、ユーザーの質問にきちんと返信する姿勢を見せることで、ブランドへの信頼感も醸成できるでしょう。
また、ネットショッピングでは、実際に商品が手元に届くまで不安になりやすいものです。お客さまからの問い合わせDMには、なるべく早く返信しましょう。そうした対応が安心感につながり、リピート購入やよいレビューにつながります。
(4) 受注の増加を視野に入れておく
インスタショップからネットショップへの流入が増えることで、想像以上の注文を受けられるかもしれません。実店舗と並行して運営している場合には発送作業が追いつかなくなる可能性があります。
このような状況を想定して、商品購入画面などお客さまの目に留まりやすい箇所に、発送にかかる日数などを表示するとよいでしょう。また、購入後に自動送信されるメールの内容を適宜編集し、最新の所要日数とともに時間がかかる旨のお詫びを記載しておくと、お客さまも安心できます。
無料でインスタショップを開設する方法
まだネットショップを開設していない場合は、Instagramと簡単に連携できるネットショップ作成サービスを選ぶのが肝心です。ここでは決済代行会社のSquareが提供するSquare オンラインビジネスを例に、無料でインスタショップを開設する方法を見てみましょう。
インスタと簡単に連携できるSquareのネットショップ
Square オンラインビジネスは、無料ではじめられるネットショップ作成サービスです。Squareの無料アカウントを作成すれば、商品マスタの作成からサイトの構築まで簡単な操作で効率よく進められるため、初心者でもわずか数分でネットショップを立ち上げることができます。
インスタグラムとの連携は無料プランでも利用可能です。またコマースマネージャへの同期も簡単に設定できるため、すぐにインスタショップをはじめたい人に最適です。
お手軽な会計リンクで販売する手も
インスタグラムのショッピング機能を使うにはネットショップの作成が必須と思われがちですが、実はネットショップがなくてもインスタで商品を販売することもできます。それが、会計リンク機能のSquare リンク決済を使う方法です。
会計リンクとは、直接購入画面に飛べるリンクです。たとえばストーリーズでリンクスタンプを使って、商品紹介動画に会計リンクをつけておけば、ユーザーは商品の決済画面に直接飛ぶことができます。また、フィードやリール投稿でも、興味を持ったユーザーにDMを送るよう促し、届いたメッセージに返信するかたちで会計リンクを送付すれば、お客さまはそこからクレジットカードやデビットカードなどで支払うことができます(※)。
「Linktree」をはじめ、各投稿にリンクをつけられる外部ツールを使用すれば、Instagramのプロフィールから決済画面に誘導することもできるでしょう。
※決済にはクレジットカードが利用できます。使用できるクレジットカードブランドと手数料についてはこちらをご確認ください。
Square リンク決済を利用すれば、3ステップで商品のインスタ販売をはじめられます。
- Squareのアカウントを作成する
- Squareの管理画面から会計リンクを作成する
- 自動で発行されたリンクをインスタで共有
本機能の詳しい利用方法は、「Square リンク決済のススメ」の記事でも紹介しています。
よくある質問 (FAQ)
最後に、Instagramのショッピング機能を利用するうえでよくある質問も押さえましょう。
インスタのショッピング機能は手数料がかかる?
インスタのショッピング機能の利用に手数料はかかりません。ショップの設定や商品のタグ付け、商品詳細ページの設定はすべて無料です。
一方、連携するネットショップでは支払いが行われるたびに決済手数料が発生します。たとえば、上で紹介したSquare オンラインビジネスの無料プランを利用する場合の決済手数料は3.6%です。
利用するネットショップ作成サービスによっては、決済手数料だけでなく、サービス利用料や売上金の振込手数料、事務手数料などがかかる場合もあります。Squareの場合、それらの隠れコストは一切ありません。
インスタに商品のカタログが表示されない場合、どうしたらいい?
商品カタログが表示されない場合は、カタログ内のアイテムやコレクションが承認待ちの状態にあるか、却下された可能性が考えられます。商品の審査は通常数秒で終了するはずですが、コマースポリシーへの違反が疑われる場合は、時間がかかります。
そのため、まずは掲載商品がポリシーに準拠しているかどうかを確認し、問題がなければ再審査を申請しましょう。
インスタショッピング機能の審査期間はどれくらい?
インスタショップの審査には、通常数日から1週間程度かかるといわれています。1週間以上が経過しても承認されない場合は、利用要件を満たしていない、あるいは必要なプロセスを完了できていない可能性があります。上で紹介した要件やプロセスを見直して、抜け漏れがないかどうか確認しましょう。
まとめ
SNSがすっかり日常に定着した現代の小売事業者にとって、Instagramのショッピング機能を利用しない手はありません。Squareのようなサービスを利用すれば、Instagram上のショップと簡単に連携できるため、効果的な集客および購買導線が手間なく得られます。初期費用や解約金は発生せず、無料プランなら月額料金もかからないため、気になった人は試しに使ってみるとよいでしょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2021年9月22日時点の情報を参照しています。2025年8月26日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash