エルメスのメンズのトップに英グレース・ウェールズ・ボナーが就任 欧州ラグジュアリーブランドを率いる初の黒人女性に
Dia Dipasupil / Getty Images
2025年10月20日(現地時間)、エルメスは37年間メンズウェアのトップを務めたヴェロニク・ニシャニアンの後任として、35歳のジャマイカ系英国人デザイナー、グレース・ウェールズ・ボナーがクリエイティブ・ディレクターに就任することを発表。重要なポジションのほとんどを男性かつ白人クリエイターが占めるファッション業界において、主要ブランドの指揮をとる初の黒人女性となった若きデザイナーに大きな期待が寄せられている。マリ・クレール インターナショナルのUK版デジタル記事よりお届け。
グレース・ウェールズ・ボナーがエルメス メンズプレタポルテ部門の新クリエイティブディレクターに就任
ヨーロッパの大手ファッションブランドを率いる初の黒人女性
世界中のファッションファンの皆さん、今夜私たちは少しだけ心安らげる。英国で最も有望なデザイナーの一人が、ついに世界有数のラグジュアリーブランドで重要な役職に就いた。グレース・ウェールズ・ボナーがエルメスのメンズウェアの新クリエイティブディレクターに就任することが発表されたのだ。万歳!
ファッション業界で続くクリエイティブ・ディレクターの椅子取りゲームを追ってきた人たちなら、ロンドンを拠点とするこのデザイナーの名前がかなり前から浮上していたことをご存じだろう。だから今回の発表は、業界全体から当然ともいえる祝福の波が押し寄せるなかで行われた。
35歳のウェールズ・ボナーは、10年以上にわたり、人気急上昇中の自身と同名のブランド、ウェールズ・ボナーを率いており、アディダス オリジナルスとのコラボレーションで数々の大成功を収め(そう、私たちは今でも、あのシルバーのウェールズ・ボナー×アディダスのスニーカーを探し求めている)、2025年5月のメット・ガラでは、「Superfine: Tailoring Black Style」をテーマに、英レーシングドライバーのルイス・ハミルトン、英シンガー・ソングライターのFKAツイッグス、米シンガー・ソングライターのオマー・アポロ、米俳優ジェフ・ゴールドブラムといった豪華な顔ぶれに衣装を提供した。
さらに、彼女はそれに見合うほど印象的なトロフィーのコレクションを持っている。ブリティッシュ・ファッション・アワードの新人メンズウェアデザイナー賞(2015年)、LVMHヤング ファッション デザイナー賞のグランプリ(2016年)、CFDAインターナショナル・メンズデザイナー・オブ・ザイヤー(2021年)などは、その一部に過ぎない。
ブランドからの発表で、ウェールズ・ボナーはこう記している。「エルメスのメンズプレタポルテのクリエイティブ・ディレクターという役割を任されたことを深く光栄に思います。インスピレーションに満ちた職人たちやデザイナーたちの系譜を受け継ぎ、この新たな章を歩み始めることは、夢が実現したようなものです。この魔法のようなブランドに私のビジョンを反映させる機会を与えてくれたピエール=アレクシス・デュマ(エルメスのアーティスティック・ディレクター)とアクセル・デュマ(エルメスのCEO)に感謝を伝えたいです」
一方、ピエール=アレクシス・デュマは次のように述べている。「グレースをエルメスのアーティスティック・ファミリーに迎えられることを心から喜んでいます。彼女の現代ファッション、クラフト、文化に対する見解は、エルメスのメンズスタイルを形作ることに貢献し、ブランドの伝統と現代における確固たる視点を融合させてくれるでしょう」。彼はこう付け加えた。「グレースの芸術的実践に対する情熱と好奇心は、エルメスの創造的な思考とアプローチに強く共鳴しています。我々は豊かな相互対話の始まりにいるのです」
そして、ファッション界全体がウェールズ・ボナーのエルメスでのデビューを心待ちにしていると言っても過言ではないだろう。そのコレクションの発表は2027年1月に予定されている。それまでの間、グレースに乾杯しよう。彼女個人だけでなく英国ファッション全体にとっての祝福となる、まさにふさわしい任命だ。
translation & adaptation: Akiko Eguchi
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