多様性と声高に叫ばなくとも人はひとり一人違う。
その出自から死を迎えるまでの経験、思考、感性、誰一人同じものはいない。
だから、かけがえのない命というのだ。
ロボットにかけがえのないという形容詞はあてはまらない。
変えの効くものだからだ。
鴨長明が方丈記の冒頭で述べているように
かけがえのない
その命は絶えず変化していて留まることはない。
命の「容れもの」であるからだも精神も常に変化している。
昨日食べられなかったものが今日食べられるようになったり
急に逆上がりができるようになったり
いつのまにか筋肉を痛めやすくなっていたり
嫌いだった人に寛容になったり
これまで仲良くしていた人との関係を断ち切ることができたり
昨日は許せたことが今日は余裕がなく怒ってみたり
年々ジョギングのペースが落ちて行ったり
そう考えると私の想像力では「自分探し」などはムダであると思う。
常に変化しているものは探すことができないのだから。
そもそも探し出せるということは
「探すものがわかっていない」ことには探し出せないでしょ。
「わかっている自分」は探せるけど
「わかっていない自分」を探すことは絶対無理です。
気づいちゃったんだけど
常に変化しているのであれば
「本当の自分」なんて固定されたものではない。
ましてや、本当の自分が固定されているのも嫌でしょ。
良きにつけ悪しきにつけそんなの気持ち悪いわ。
生きている価値がないじゃん。
変わらない自分ってなんの面白みもない。
考え方が違う人とは一生相容れないことになる。
変わらないので反省もしなくていい
とてもやばい世界になる。
そもそも本当の自分を探すその項目ってなに?
どうなっているの?
何がわかれば本当の自分を探したことになるのかな?
知りたいのは容姿、頭の良さ、心のありよう、なに?
仮に本当の自分を見つけたとして
それがあなたのお気に召さなかったらどうするの。
私個人的にはいいことばかりではなさそうですけど。
本当のあなたは
今よりずっとわがまま放題なので素直な今がおかしいのです。
人の迷惑を顧みないので、周囲に迷惑をかけるヤツなのです。
将来、頭髪の毛が薄くなります。
150㎞投げるようになりますけど肘をケガします。
月から来た宇宙人です。近い将来お迎えが来ます。
みたいに。
井上陽水が「夢の中へ」で
はいつくばって はいつくばって
いったい何を探すというのか
と歌っているでしょ。
その通り、ジタバタしなくていいんですよ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
でも相対的に自分を見てみると立ち位置はわかる。
他人との差を認識できるという意味において。
それが良いか悪いかは別問題です。
特に自分の考え方を世間一般と照らしてみた場合、
その差が大きくても小さくても居場所を失くす。
「どうしてみんなと同じにできないの」
という心無い大人の言葉に
せっかく持っている貴重なあなたと人との違いに憂いて
「こんなの本当の私じゃない」と自分を責めたりもする。
ちがうんだよ。
自分を責めている今のあなたこそが本当のあなたではないのだ。
死ぬことまで考えてしまっているあなたは、本当のあなたではない。
本当のあなたは自分を殺すような人ではない。
人と違おうがなんだろうが、それでいいんです。
他人が認めなくても自分で自分を認めていればいい。
それでもどうこうできないのらどうこうできなくていい。
無理は禁物。
あなたの自信を奪うのは他人だけど
あなたに自身を奪うような他人の中に、考えを巡らせるのはあなた自身だ。
それは時間のムダでしかない。
他人の中に自信を預ける必要はない。
そういう人は多いけどね。
自分の自慢や主張を重ねて他人の評価を上げようとする人。
脆くてむなしい人。
自分に自信をもたせることができるのはあなただけなのですよ。
忘れているのなら思い出して欲しい。
あなたは自分に自信を持たせる力を持っています。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今は大人から色々言われて混乱してだれも信用できないかもしれないけれど
でも人を好きになってほしい。
人を信用してほしい。
そりゃあ、平気で人を裏切ったり意地悪する人も中にはいるよ。
優しいフリをして近づいてくる人もいる。
生きていればなんだかんだでいけ好かないヤツの方が断然多い。
でもあなたは、暴走族とはお近づきにならない。
反社との付き合いもしない。
そういう波動も同じ考えも持っていないから。
同類ではないものは交じることはないから安心してほおっておきましょう。
そういう人たちと出会った場合には、
その人を憎んだり正したり言い争ったりするのではなくて
自分の普段の言動を見直してみるといいかもしれない。
悪い気が悪い波動がそういう人たちを呼び寄せてるのかもしれないと思うと
自分を成長させるきっかけになるでしょ。
信用できる人や好きになる人をたくさんたくさん抱える必要はないのです。
そんな人は数えきれないほど多く現れませんので大丈夫。
経験を積んで見極められるようになるといいですね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
とにかく「みんなと同じにできない」自分を恥じることはないですよ。
メジャーリーグ歴史上最高の選手と言われる大谷選手も
二刀流でメジャーに挑戦するなんて無謀だと、日本のかつての名選手たちに言われ罵倒されました。
二兎を追うものは……とも言われました。
でも彼はその批判に反論することなく、
表向きは涼しい顔で「やってみなければわからないでしょ」
といった姿勢でメジャーリーグに挑んでいきました。
とても勇気のいる決断だったと思います。
失敗すれば叩かれるであろう確率は
「向こうのお山まで競争」において
ウサギが亀に負ける確率よりも高かったと思います。
メジャーという世界最高峰の舞台で、
ともすれば差別的にみられる日本人が
自分の個性を信じ、
自分の価値を下げることなく
自分の持っている力を試すことで
おのずと今の地位に上り詰めました。
自分を信用せずに、人の意見にのっかっていれば今の彼はいません。
それが「自分らしさ」を妥協せずに貫いたということではなるのではないでしょうか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
医者になれだの
いい高校いい大学に入れだの
みんなと歩調を合わせろだの
あれこれ言われてしょげている君、
今、君が生きていることはそれだけでなによりなことです。
これまで生き延びてきたことが
あなたが「あなたの人生」を歩んできたことなのです。
私もあなたも、いつ死ぬのかは、だれにもわからない。
今夜パタッと死ぬのか、100歳まで生きるのかそれはわからない。
ただ生き続けるのであれば、私は逃げないで生きていきたい。
若くしてこれまでの人生から逃げてきたと思っている人も
これから逃げずに自分の人生を歩めばいい。
これまではからずも生きてきちゃったんでしょ。
充分でしょ。
ただね、なんだかわからない他人に巻き込まれ
人のせいにして生きるのは、命がとてももったいないと思うのです。
ピアスを開けて校則違反をしようとも
勉強が思うようにいかず親の希望通りに進学できなくても
逃げることなく事実に正しく向き合えば
謎に満ち満ちたわかるようでわかっていない人生を
楽しくいかんなく過ごせると思います。