近年、ビジネスにおける情報収集のあり方は、大きな転換期を迎えている。従来型のキーワード検索に代わり、生成AIを情報収集に活用する層が増えてきており、特に若年層のビジネスマンにおいて加速している。PRIZMAが正社員の20代〜50代を対象に実施した調査では、その実態が明らかになった。
まず生成AIの利用率は、20代で72%、30代で65%と高い水準にある。一方、40代は52%、50代は48%という結果であり、若年層ほど利用率が高い傾向だ。
さらに注目すべきは、情報収集におけるAI検索の信頼度である。20代・30代では、従来の検索よりもAI検索の方が信頼できると回答した層が上回っており、40代・50代に比べて信頼度が高い。これに「どちらも大きな差はない」という回答を含めると、20代の約8割、30代の約7割が、AI検索に従来の検索と同等以上の信頼を寄せている。
また、Googleが導入したAI Overviews(AIO)の活用状況にも世代差が見られる。AIOを「活用する」と回答した層は20代で半数以上と最多であるのに対し、50代では3割以下にとどまる結果となった。特に見逃せないのは、若年層では2割程度がAIOのみで検索を完結させている点である。AIによる要約や回答が、単なる補助ではなく「有益な回答」として受け入れられ、検索行動の終着点となっているのが若年層の現状だ。
では、生成AIは具体的にどのような用途で使われているのか。これは世代によってあまり差が見られず最も多かったのは「従来の検索の代替として」で50.0%。次いで「情報収集」(43.8%)「一次検索」(42.4%)と、情報取得系の用途が上位を占めた。一方で、「資料作成(24.3%)」や「文章作成(20.7%)」といった、アウトプットを生み出す活用はまだまだ少数派にとどまった。
この結果は、生成AIがまだ「創造的なアシスタント」というよりも、「超効率的な情報収集ツール」としてビジネスの現場に浸透しているのではないだろうか。企業が発信する情報戦略においても、単なるSEO対策から、AIが正確かつ有用な情報として認識するコンテンツ設計への視点転換が求められる時代が到来したと言えよう。
出典:PRIZMA「生成AI、AIOの活用率についての実態調査」より