デザインにおいてクライアントからのヒアリングに注目した、これまでになかった実践的な解説書 -デザインはヒアリングからはじまる

Book Review

Post on:2025年12月12日

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クライアントとのやり取り、チームでのヒアリングが思うようにいかないと悩んでいる人にお勧めの良書を紹介します。

私はクライアントとのやり取りやヒアリングは好きな方ですが、本書を読んで「なるほど」と思うことが多々ありました。クライアントとのやり取りがある人は一度目を通しておくことをお勧めします。

著者の佐野五月氏による初の書籍となる本書は、デザインワークの解説書でも一部として取りあげられる「ヒアリングの重要性」についてフォーカスしたこれまでになかった実践的な一冊です。

クライアントをはじめ、上司、部下、チーム、フリーランスなど、立場の違いによるヒアリング術も詳しく解説、「こういうことってあるよね」と頷きながら学べます。

デザインはヒアリングからはじまる
ISBN 978-4-8399-88067
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著者: 佐野五月（でざいん姉さん）
出版社: マイナビ出版
発売日: 2025/11/21

Kindle版も同時発売されます！

デザインはヒアリングからはじまる Kindle版

版元様より許可をいただいたので、紙面のキャプチャを少しだけご紹介。

「相手と対話することの楽しさや面白さ」まさに私がクライアントとのやり取りやヒアリングが好きな理由はこれに尽きます。繰り返し会う方とはもちろん、初めて会う人に対しても楽しさや面白さを見いだすことで、仕事が楽しくなり、よりよい成果につながると感じます。

本書は0+6章構成で、第1章「ヒアリングはなぜ大切？」から第6章「ヒアリングクエスト」まで、プロジェクト中で必要となるヒアリングについてさまざまな面からその進め方が分かります。

ヒアリングはプロジェクトの始めから終わりまで、すべての場面で必要となります。そして、ヒアリングの大事なポイントは、相手からどれだけ聴き出せるか、です。「売上をあげたい」「ここを目立たせて」これだけの情報では相手の真意は分かりません。

相手が抱えている課題や要望を目に見える形で答えるには、相手が言葉にしきれていない真意をていねいに聞き出すことが重要です。では、それをどうやればいいのか？本書にはさまざまな具体的な事例を元に詳しく解説されています。

第1章「ヒアリングはなぜ大切？」では、プロジェクトの進行中に発生するクライアントとのさまざまなやり取りについてどんや役割があるのかが分かります。

特にクライアントと初めて会うときのやり取りは、大切です。まさに「始めが肝心」ここでクライアントとしっかりやり取りを重ねることで、最終的な成果物もよりよいものがつくれます。

ヒアリングの大きな役割の一つは、クライアントとのズレや行き違いを防ぐことです。同じゴールを目指すことで、プロジェクトがスムーズに進められ、クライアントとの信頼関係も強まります。

第2章「ヒアリングの基本」からいよいよヒアリングの手法について学びます。ヒアリングを行う際には、5つのステップを意識します。Step 1は「目的を明確にする」こと。プロジェクトのゴールが何なのかを明確に定め、クライアントはもちろん、チーム内でも共有し、そこを目指して進めます。

Step 3は「既存の問題点や課題を探る」こと。これはヒアリングだけでなく、現状の情報構造に課題はないか、ユーザーは情報に辿り着けているか、どこで離脱してるか、リサーチと現状分析も必要です。

第3章は「姉さん流ヒアリングの実践」実際の業務においてヒアリング時に著者が心がけていることを解説しています。

ヒアリング（誰かと会話するときにも役立つ）のときには、その場の雰囲気や会話術にもいろいろな工夫をこらせます。たとえば、相手がキーワードをなる言葉を出したときは同じ言葉を繰り返したり、質問をする前に賞賛を入れたり、といった積極的傾聴のコミュニケーションスキルが役立ちます。

ヒアリングは聞き出すことではなく、重要なのは導き出すことです。そのためには、事前の準備も重要です。事前に渡された資料だけでなく、その会社やサイト、業界の動向、競合他社、さらには経営者や担当者のSNSなど、リサーチしておくべきことが多々あります。

第4章は「働き方・役割別のヒアリング術」社内でのヒアリング、フリーランスのヒアリング、ディレクターのヒアリング、チームでのヒアリングなど、それぞれの役割に応じたヒアリングの進め方を解説しています。私はチームでのヒアリング時には、必ず初めての人も連れていくようにしていました。デビュー戦はやっぱり見守りたいですからね。