兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる告発文書問題は発覚からまもなく1年になる。県政の混乱は、知事の不信任、出直し選挙での再選を経ても収まっていない。パワハラや“おねだり”疑惑を告発した元県民局長や追及した元県会議員らの命が失われたが、デマや誹謗中傷もやまない。3月4日には文書の真偽を調査してきた県議会百条委員会の最終報告が公表され、19日には県が設置した第三者調査委員会の報告が提出される。この間の知事の発言を振り返り、混迷が深まる原因を考える。(以下、文中敬称略) (松本 創:ノンフィクションライター) 賛同者ばかりの万博行事で自画自賛 大阪・関西万博の開幕1カ月前となった3月13日、神戸市内のホテルで開かれた関連行事に斎藤元彦・兵庫県知事の姿があった。冒頭で講演に立ち、自らの肝いり事業から語り始めた。 「われわれは『ひょうごフィールドパビリオン』というプロジェクトを中心に、万博の機運を高め、そし