トランプ政権が世間を騒がせている今、その背景で巨大な影響力を持つと言われるキリスト教・福音派を論じ、大きな話題となっている『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(中公新書)。本書の刊行を記念して、宗教学者・思想史家である著者の加藤喜之氏と、リアルサウンドブックで『ポップカルチャーと「聖なる価値」』を連載する宗教学者・哲学者の柳澤田実氏が対談を行った。 終末論的な世界観を持つこの宗教集団・運動は、どのような経緯で勢力を拡大してきたのか。日本からはどのような視点で捉えると良いのか。キリスト教を第一線で研究する両氏が語り合った。 福音派の意外な印象 ターニャ・M・ラーマン『リアル・メイキング:いかにして「神」は現実となるのか』(柳澤田実訳、慶應義塾大学出版会) 柳澤田実氏(以下、柳澤):加藤さんの『福音派』、沢山の方に読まれているようで素晴らしいですね。福音派がどういった経緯で出てきた集団