独自の世界観と作家性で世界中のファンを魅了し続ける映画監督・押井守が、Aだと思っていたら実はBやMやZだったという“映画の裏切り”を紐解いていく連載「裏切り映画の愉しみ方」。内戦が勃発した近未来のアメリカ合衆国を描くアレックス・ガーランド監督の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の後編をお届けします。 押井守監督が映画の愉しみ方を語り尽くす!撮影/河内彩 「このセリフがすべてと言ってもいい」 ――前編では、“シビル・ウォー=内戦”がなぜ日本は無縁だったのかについて様々な角度から語っていただきました。後編にあたる今回は「期待した“戦争映画”ではなかったものの、満たされた部分もある」というお話を伺います。 「もっとも秀逸だったのはカメラマン一行が怪しげな兵士たちに捕まってしまうエピソード。軍服姿の銃を構えた兵士が彼らにこう尋ねる。『お前、どういうアメリカ人なのか?』。このセリフは上手い