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螺旋が描く陰影美…井上萬二氏の絶作『白磁渦文 蓋物』

人間国宝 井上萬二氏 絶作

本年7月、96歳で惜しまれつつ逝去された井上萬ニ氏。

最晩年に至るまで制作への情熱は衰えることなく、挑戦を続ける姿勢と研鑽を惜しまぬ精神で作陶に真摯に向き合い続けました。

本作は、人間国宝認定30周年を記念し、日経アートのお客様のために特別に制作いただきました。

鳴門の渦潮に着想を得た意匠が、白磁の清らかさとともに静かに力強く佇んでいます。

渦の意匠に込められた吉祥の意味合いと、井上氏の生命力が宿るかのような躍動感は、まさに絶作にふさわしい気品を湛えています。

 

 

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井上萬二『白磁渦文 蓋物』 

 

常に好奇心を絶やさなかった井上氏が四国地方への旅の途中、鳴門の渦を見て閃いたという渦文。

それを堂々とした蓋物にデザインしてくださいました。

中央の摘みから胴部まで、渦の流麗なカーブが高い技術により途切れることなく一体となっています。

 

渦文は、伝統的な吉祥文様の一つ。

《うずまき》をモチーフとした文様のバリエーションとしては、雷神様の太鼓の三つ巴や、

ラーメン鉢のふちのぐるぐる模様(稲妻紋)や連綿とつながる唐草模様なども挙げられます。

スマホの絵文字では台風をイメージしたものも渦巻ですね。

いずれも何らかのエネルギーが発生している状態をあらわしています。

 

井上氏がインスピレーションを得た徳島の鳴門は独特の地形にくわえ,

瀬戸内海と紀伊水道が勢いよくぶつかり合うことで世界的にも最大級の渦潮が発生するエリア。

2025年に96歳を迎えても作陶に向き合いながら海外でも技術指導を行うなど、周囲を巻き込み、

技術を波及させ自身の創作領域も拡げてこられました。意欲的な井上氏らしいエネルギーに満ちたモチーフです。

 

しかし井上氏の渦は力強いだけではありません。

卓抜の轆轤(ろくろ)技術によってなめらかなドレープのように広がり、

つややかで端正な白磁に美しい陰影を生み出しています。

 

蓋を外し、花器としてもお使いいただけるよう口を大きめにとっていただきました。

お花をきらしてしまったタイミングでは蓋物として、お花があれば花生として…

2通りでご活用いただくことも出来る作品です。

 

日経アートでしかお求めいただけない渦文の大作、直筆のお箱書きでお納めできる作品は

2点限りとなりました。ぜひお手元にてお楽しみください。