Anthropicは8月29日(現地時間)、同社が開発するAIチャットサービス「Claude」において、消費者向けの利用規約とプライバシーポリシーを更新すると発表した。これによりユーザーは、自身の会話データをClaudeのモデル性能向上のために提供するかどうかを、自ら選択できるようになる。
ユーザーの選択でAIの安全性と性能を向上
今回の更新は、無料プラン「Claude Free」、有料プランの「Claude Pro」および「Claude Max」の個人ユーザーが対象となる。ユーザーがデータ提供を許可することで、Anthropicは会話データを活用し、詐欺や不正利用といった有害なコンテンツを検出するシステムの精度を高める。さらに、コーディングや分析、推論といった能力の向上にも繋がり、将来的により高性能なモデルをすべてのユーザーに提供できるとしている。
このデータ提供は任意であり、ユーザーはいつでもプライバシー設定から変更が可能だ。新規ユーザーはサインアップ時に、既存ユーザーはアプリ内に表示される通知から意思表示を求められる。既存ユーザーがデータ提供に同意した場合、データ保持期間は従来の30日間から5年間に延長される。この延長は、数年にわたるAIの開発サイクルにおいて、一貫性のあるデータでモデルを学習させることで、より安定した性能向上を実現するために必要だという。データ提供に同意しない場合は、保持期間は従来通り30日間に維持される。
なお、一度データ提供に同意した後に設定をオフにした場合、それ以降の新しい会話データがモデル学習に使われることはない。また、ユーザーが会話を削除した場合も、そのデータは将来のモデル学習から除外される。Anthropicは、機密データをフィルタリングまたは難読化する自動化プロセスを導入しており、ユーザーのデータを第三者に販売することはないと強調している。
既存ユーザーは2025年9月28日までに、データ提供に関する選択をおこなう必要がある。この日を過ぎると、いずれかの選択肢を決定するまでClaudeの利用を継続できなくなる。なお、法人向けの「Claude for Work」やAPI経由での利用(Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AIなど)は今回の規約更新の対象外となる。