完了しました
ほぼ全員が男性で占められている総合職のみに社宅制度を設けているのは事実上の性差別にあたるとして、ガラス大手「AGC」の子会社「AGCグリーンテック」(東京)に勤める一般職の女性従業員(44)が同社に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は13日、378万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
別所卓郎裁判長(瀬田浩久裁判長代読)は同社の社宅制度は、性別には関係ない取り扱いであっても片方の性別が不利益を被る「間接差別」にあたると判断した。間接差別は男女雇用機会均等法が禁じており、原告側の弁護団によると、間接差別を認定した判決は初めてとみられる。
判決によると、2020年4月までに同社に在籍した計34人の総合職のうち女性は1人。計7人の一般職は6人が女性だった。同社は転勤の有無などを理由に総合職にのみ、社宅賃料の最大8割を負担する制度を採用していた。
判決は転勤の有無にかかわらず、社宅制度が適用されていた実態を踏まえ、「事実上、男性のみに適用される社宅制度の運用を続ける合理的な理由はなく、間接差別にあたる」と指摘。経済的恩恵の格差は大きく、制度を漫然と継続したのは違法だと結論付けた。