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カスタマーサクセスとは?成功事例やメリット・デメリットを解説

カスタマーサクセスとは、顧客の成功体験を支援する取り組みのことです。既に自社の商品やサービスを利用している顧客に対して定期的なフォローや導入支援など、根本的な問題解決や満足度向上につながるサービスを提供します。

カスタマーサクセスの具体的な仕事内容カスタマーサクセスの具体的な仕事内容

カスタマーサクセスは顧客側にメリットがあるだけでなく、企業側にもリピーター獲得や利益拡大などにつながるメリットがあります。顧客と企業が「Win-Winの関係」になれるところがカスタマーサクセスの大きな魅力です。

▼カスタマーサクセスに取り組む4つのメリット

・解約率を低減できる
・LTVを向上できる
・商品・サービス改善のためのフィードバックを獲得できる
・顧客満足度の向上につながる

カスタマーサクセスを導入する企業は増えているので、競合他社に遅れを取らないためにも、カスタマーサクセスとはどのような取り組みなのか理解をして取り組みを開始することが大切です。

そこでこの記事では、カスタマーサクセスの概要や仕事内容、メリットや成功事例などをまとめて解説していきます。

▼この記事の内容

・カスタマーサクセスとは
・カスタマーサクセスは重要性が高まっている
・カスタマーサクセスの4つのメリット
・カスタマーサクセスのデメリット
・カスタマーサクセスの3つの成功事例

この記事を最後まで読めば、カスタマーサクセスとはどのような取り組みなのか理解でき自社でも実行できるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.カスタマーサクセスとは

まずはカスタマーサクセスの概要や仕事内容など、カスタマーサクセスを理解するうえで知っておきたい基礎知識をご紹介します。

1-1.「カスタマーサクセス」とは顧客の成功体験を支援する取り組みのこと

カスタマーサクセスとは、商品やサービスを利用する顧客の成功体験を支援することです。カスタマーサクセスを日本語に直訳すると「顧客の成功」です。

既に自社の商品やサービスを購入している顧客に対して企業側から積極的に働きかけることで、顧客満足度の向上や顧客の課題解決につなげます。

その結果、自社の利益拡大やリピーター獲得などの成果を生み出すことができ、顧客と企業が「Win-Winの関係」となることを目指します。

顧客と企業が「Win-Winの関係」となるよう成功体験をサポート顧客と企業が「Win-Winの関係」となるよう成功体験をサポート

例えば、自社の商品を利用している顧客が「他の商品も試してみたい」と潜在的に感じていたとします。

そこで、企業(コンタクトセンター)側から顧客に架電をして「商品のご利用ありがとうございます。何かお困りごとはありませんか?」と問いかけます。

この問いかけを機に「実は他の商品も試してみたいと考えています」などの顧客の思いを聞くことができれば、顧客が求める成功体験につながる次の商品を案内します。

このように、カスタマーサクセスは顧客が製品やサービスに感じる不満や疑問を先回りしてサポートし、能動的に解決して顧客満足度の向上や商品、サービスの再購入などにつなげる取り組みです。

実際にカスタマーサクセスに取り組む企業は増加しており、下記のような点でカスタマーサクセスの成果を感じています。

【カスタマーサクセスに取り組み実感している効果】

・商品やサービスの継続利用率が向上した
・顧客満足度が向上した
・関係構築できている顧客が増えた
・顧客の客単価が向上した

トランスコスモスが提供しているカスタマーサクセスサービスは下記で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

1-2.カスタマーサクセスの仕事内容

カスタマーサクセスは、既に商品やサービスを購入している顧客対して下記のような業務を行います。

仕事内容

概要

商品やサービスの導入支援

商品やサービスを購入後の使い方・設定などのサポートを行い問題なく使えるように支援する

ユーザーコミュニティの運営

自社の商品やサービスを利用している顧客だけが利用できるコミュニティを運営しコミュニティ内での問題解決・成功体験の共有を促す

サービス活用度のモニタリング

購入した商品やサービスをどのように活用しているかモニタリングをする。モニタリング結果を通じて顧客の課題が可視化でき支援や他商品やサービスの紹介につなげる

定期的なフォロー

商品やサービスの更新月にフォローの連絡をする

顧客が興味を持ちそうな新商品・新サービスの紹介をするなど定期的にフォローをする

例えば、商品やサービスを購入したばかりの顧客は、使い方や設定方法が分からず悩んでいる可能性があります。カスタマーサクセスが能動的にサポートを行いスムーズに使用できるようにすることで、顧客満足度を高めます。

また、継続利用している顧客の中には、自分から疑問や課題を伝達しない人もいます。カスタマーサクセスが定期的なフォロー、モニタリングを行い、疑問や不安を払拭できるように支援をします。

場合によっては他の商品やサービスの紹介、提案なども実施し、顧客にとって成功体験となるように、中長期的なサポートを行います。

【カスタマーサクセスの定期的なフォローの一例】

・「商品やサービスを利用していてお困りごとはありませんか?」と顧客の思いをヒアリングする
・「現在使用されている商品のワンランク上の商品が発売になりました」など関連する商品やサービスの情報をいち早く届ける
・「今月が更新月となりますがご利用状況はいかがでしょうか?」と更新のタイミングで連絡をして顧客の状況を確認する
・リピーター向けのイベントやセミナーなどを開催し顧客満足度を高める

このように、カスタマーサクセスは顧客の商品やサービスの利用状況や顧客との関係性などを念頭に置きながら、適切なタイミングに成功体験につながる支援を行います。

1-3.カスタマーサポートとの違い

類似する部署、職種として「カスタマーサポート」があります。
よく混同されがちですが、この2つには以下のような明確な違いがあるのです。

カスタマーサクセス

カスタマーサポート

目的・ミッション

根本的な問題解決をして顧客ロイヤルティを向上させる

問い合わせのあった疑問や課題を解決して顧客満足度を向上させる

取り組む姿勢

能動的
営業的にアプローチ

受動的
問い合わせ対応

関与する期間

中長期的・連続的

短期的・断続的

成果指標

顧客継続率
商品・サービスの使用頻度
(成功重視型)

顧客への返信時間
対応回数
(効率重視型)

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い①】目的・ミッション

1つ目の違いは、目的・ミッションです。

カスタマーサクセスでは、根本的な課題・問題解決を通じて顧客ロイヤルティを向上させることを目的としています。そのため、顧客が直面している部分的な問題解決だけでなく根本的な解決に取り組み、中長期的にサポートをしていきます。

一方でカスタマーサポートでは、顧客からの問い合わせに対してスピーディーに疑問や課題を解決し、問題を収束させることで顧客満足度を向上させることを目的としています。

「顧客満足度を向上させる」という点ではカスタマーサクセスと共通していますが、顧客が直面した、部分的な問題に対して解決をはかるため、顧客との関係は短期的なものとなります。

【カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い②】取り組む姿勢

2つ目の違いは、取り組む姿勢です。

カスタマーサクセスでは、顧客が商品・サービスに感じる不満や疑問を先回りして、能動的に解決していきます。また、顧客の潜在的な課題を、データをもとにして分析し、率先して成功するための道筋を示します。

一方でカスタマーサポートでは、顧客から問い合わせが発生してから対応するため、受動的な姿勢になります。能動的な姿勢であることよりも、顧客の感じる疑問や問題に対して、スピーディーかつ、的確に対応していく必要があります。

【カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い③】成果指標

3つ目の違いは、成果指標です。

カスタマーサクセスはサービス継続率(解約率の低下)や商品・サービス単価の向上などを成果指標(KPI)としています。「商品・サービスの使用頻度が高いかどうか」「継続して利用してもらえている顧客はどのくらいいるのか」を、指標を使って把握することで、顧客の満足度を確認します。

一方でカスタマーサポートでは、問い合わせのあった顧客への対応回数や返信時間を成果指標としています。「どれだけ多くの顧客に対して、迅速に対応できたのか」を対応回数や返信時間で把握することで、顧客の満足度を高められているのかを確認します。

2.カスタマーサクセスは重要性が高まっている

昨今は、カスタマーサクセスの重要性が非常に高まっています。ここでは、なぜ今カスタマーサクセスが重要視されているのか2つの理由をご紹介します。

▼カスタマーサクセスが重要視されている理由

・ビジネスモデルが変化した
・新たな価値による差別化が必要になった

2-1.ビジネスモデルが変化した

カスタマーサクセスが重要視されるようになった大きな要因に、ビジネスモデルの変化があります。

以前のビジネスモデルは売り切り型が主流で、契約締結が営業活動のゴールでした。しかし、昨今はサブスクリプション型(契約更新型・定期的購入型)のサービスが登場し、契約してからが顧客との関わりのスタートに変わりました。

売り切り型

顧客と契約締結をすることが営業活動のゴール

サブスクリプション型

顧客と契約をすることが営業活動のスタート
(契約更新・再購入してもらうためのサポートが必要)

時代に合う営業プロセスのフレームワークとして登場したのが、「The Model」です。

The Modelは営業プロセスを段階ごとに分け、情報収集や数値の可視化ができます。カスタマーサクセスを重要な営業プロセスとして捉えており、カスタマーサクセスの重要性を広めるきっかけになりました。

The Modelの4つの段階の概要The Modelの4つの段階の概要

The Modelの4つの段階

マーケティング

見込み客の創出・獲得を行う
来訪者数×獲得率=見込み客数

インサイドセールス

見込み客を育成し案件化する
見込み客数×案件化率=案件数

外勤営業

案件を契約・購入につなげる活動をする
案件数×契約率=契約数

カスタマーサクセス

購入後のサポートを通じて再購入・リピーター獲得につなげる
契約数×継続率(契約更新率)=継続数

The Modelを見ると分かるように、営業活動は創客から契約までで終わりではありません。
カスタマーサクセスを行い、再購入やリピーター獲得につなげる活動が必要です。

このように、ビジネスモデルの変化により、商品やサービス購入後の顧客体験が重要視されるようになりました。

2-2.新たな価値による差別化が必要になった

日本市場は成熟化が進み、商品やサービスの価格や性能だけでは差別化を図ることが難しくなってきました。例えば、電化製品を購入するにしても国内外のメーカーが多数あり、同じようなデザイン・機能の商品が並んでいます。

この状況で差別化を図るために注目されているのが、カスタマーサクセスによる付加価値の提供です。同じような性能・デザインの電化製品が2つあったときにアフターサポートや定期フォローがある商品とない商品とでは、顧客に与える成功体験が大きく異なります。

カスタマーサクセスによる導入支援があれば「使い方が分からなかったらどうしよう」「設定が難しかったらどうしよう」という顧客の不安を払拭することにつながるでしょう。

また、サブスクリプション型のサービスに加入するときも「ユーザーのみのコミュニティが用意されている」「更新月に連絡がある」などのサポートがあれば、購入後に安心して利用できると感じてもらえるでしょう。

このように、カスタマーサクセスがあると顧客は購入後の成功体験を想像しやすくなり、他の商品やサービスにない価値だと感じてもらえる可能性があります。カスタマーサクセスは成熟した市場で差別化を図る要素としても注目されています。

3.カスタマーサクセスの4つのメリット

カスタマーサクセスの活動は、サブスクリプション型ビジネスにおいて、4つのメリットをもたらします。また一方で、デメリットもあります。

「カスタマーサクセス」活動の導入が自社にとっていいのかどうかを判断するためにも、メリット・デメリットを知っておくと良いでしょう。3章ではカスタマーサクセスのメリットを4つご紹介します。

▼カスタマーサクセスの4つのメリット

・解約率を低下できる
・LTVが向上できる
・商品・サービス改善のためのフィードバックを獲得できる
・顧客満足度の向上につながる

3-1.解約率を低減できる

カスタマーサクセスの1つ目のメリットは、「解約率を低減できる」ことです。

カスタマーサクセスでは顧客の問題解決や不安を解消できるように、下記のようなサポートを行います。その結果、顧客の成功体験につながり商品やサービスの継続利用につながります。

・顧客の事業に沿った機能をレクチャーする
・社員全員が導入したサービスを使えるように導入支援をする

例えば、顧客企業に商品が浸透するように、社員を対象とした導入支援セミナーを実施したとしましょう。企業内の誰もが問題なく活用できるようになれば、継続利用してもらいやすくなります。その結果、自社の利益拡大にもつながります。

また、解約した顧客が競合他社の製品を購入してしまうことを回避でき、自社商品・サービスのシェア拡大が実現できます。

【解約率を測定する方法】

カスタマーサクセスを通じて解約率を抑えられているのか確認するためには、解約率を測定する必要があります。解約率は測定したい一定期間を定め、下記の方法で算出できます。

解約した人数 ÷ 解約前の人数×100

契約者が100人いて1ヶ月の間に解約した人が5人いた場合は、5÷100×100で解約率は5%です。

3-2.LTVを向上できる

カスタマーサクセスの2つ目のメリットは「LTVを向上できる」ことです。

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」のことで、顧客が特定期間のうち、自社商品・サービスを合計でいくら分使うのかを表す指標です。長期間継続利用する顧客ほど、LTVが高くなります。

LTVが向上できるのは、顧客が商品・サービスに対して「好感を持っている」状態をカスタマーサクセスが維持できるようにサポートするからです。

カスタマーサクセスでは、自社の商品・サービスの使用プロセスで、顧客の課題解決や「やりたいこと」「達成したいこと」を叶えるための支援を行うことにより、自社のブランドや商品・サービスに好感を抱いてもらうことができるのです。

例えば、シャンプーの購入に関するケースを考えてみましょう。

シャンプー購入の目的が「まとまりやすい髪になりたい」という場合は、それが「顧客の成功」になります。そこで企業は「まとまりやすい髪になるためのシャンプーの使い方やヘアケアの方法を教える動画コンテンツを提供する」などの、カスタマーサクセス施策を実行します。

そうすると、「シャンプーを購入するだけで、まとまりやすい髪になれるようなハウツーをたくさん用意してもらえた」「実際に効果が出た!」となど好感を持ってもらうことができ、リピートしてもらえるようになります。

LTVが向上できれば、継続的な商品・サービス利用が見込めるため企業の業績向上へとつながっていきます。

【LTVを測定する方法】

LTVは、下記の方法で算出することが可能です。

平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間

平均顧客単価が10万円、収益率30%、購買頻度2ヶ月に1回、継続期間5年の場合、10万円×0.3×6×5=90万円となります。LTVをKPIに設定し継続して測定すると、カスタマーサクセスによりLTVが向上しているのか把握できます。

3-3.商品・サービス改善のためのフィードバックを獲得できる

カスタマーサクセスの3つ目のメリットは商品・サービス改善のためのフィードバックを獲得できることです。

カスタマーサクセスは、顧客が商品・サービスを購入したあと、成功に導くためにコミュニケーションを多用します。そのため、

・顧客が何に困っているのか
・何をどうしたいのか

という顧客のニーズやフィードバックを拾いやすくなります。

情報を獲得できれば、商品・サービスに反映でき、既存顧客の満足度を向上させるだけでなく、より市場に受け入れられるようになり、新規顧客の獲得にもつながっていきます。

カスタマーサクセスは企業から顧客への一方通行のアプローチではなく、顧客側からも、フィードバックを受けられるといった、双方向のコミュニケーションを取ることで、顧客にも企業にも大きなメリットがあるのです。

3-4.顧客満足度の向上につながる

4つ目は、顧客満足度の向上につながることです。

カスタマーサクセスは、顧客一人一人に適した提案や課題解決方法を提案します。例えば、商品の使い方が分からない顧客には導入支援を実施したり、自分に合う商品を探している顧客には他の商品やサービスを提案します。

顧客の思いを汲み取りながら1対1でコミュニケーションを取れるため、適切なサポートができれば信頼関係や安心感を抱いてもらいやすいです。

その結果、顧客満足度の向上につながり、ファンやロイヤルカスタマーの獲得を目指せます。

昨今は安定した収益を獲得できるロイヤルカスタマーの獲得を重視している企業も増えています。カスタマーサクセスを有効活用できれば、自社の強い味方となるロイヤルカスタマーを増やすことも可能です。ロイヤルカスタマーについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

【顧客ロイヤルティを測定する方法】

カスタマーサクセスを通じて顧客が商品やブランドに対して「信頼」や「愛情」を抱いているかどうかは、NPS(顧客ロイヤルティを数値化するための指標)で数値化できます。

NPSは「あなたは当社(または当社の商品・サービス)を、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に、10段階で推奨度を回答してもらいます。推奨度の高い顧客が多ければ、顧客ロイヤルティの高い顧客が多いことが分かります。

NPSの詳しい算出方法は下記の記事で解説しているので、参考にしてみてください。

4.カスタマーサクセスのデメリット

カスタマーサクセスのデメリットは、人的リソースやコストをかけても思ったような結果が得られない可能性があるという点です。

カスタマーサクセスでいちばん重要な「顧客の成功」の定義付けや顧客の成功を叶えるためのアプローチ方法が間違っていると、どれだけ人的リソースやコストを投資しても、解約率を下げたり、LTVを向上させたりできないのです。

例えば、先の例でお伝えした、シャンプーのサブスプリクションの場合を考えてみましょう。シャンプー購入の目的が「まとまりやすい髪になりたい」という場合は、それが「顧客の成功」になります。

しかし、企業側で「顧客の成功」を「パッケージがおしゃれなシャンプーがほしい」と定義づけした場合、顧客に受け入れられるおしゃれなパッケージを作ることに投資し、顧客にアプローチすることになります。

この時点で、「顧客の成功」の定義付けがズレてしまっているため、顧客はこのサービスに満足できず、解約率は下げられないでしょうし、LTVは上がりません。

カスタマーサクセスでは、「顧客が求めているもの」は何か、「顧客が求めていないものは」何かをしっかりとリサーチしたうえで、「顧客にとって何が本当の成功なのか」を理解することが重要です。「顧客にとって何が成功なのか」を理解するためのポイントは、次の章で解説しています。

5.カスタマーサクセスの3つの成功事例

カスタマーサクセスを実際に導入し、成功した事例はいくつもあります。

実際にカスタマーサクセスの成功事例を知れば、どのような取り組みや施策がカスタマーサクセスにつながるのかイメージできるようになります。

5章では、実際にカスタマーサクセスが成功した事例を3つご紹介します。

5-1.Sansan社の成功事例

Sansan株式会社は、法人向けのサブスクリプション型クラウド名刺管理サービスを提供しています。国内企業として初めて、2012年に「カスタマーサクセス部門」を創設した企業でもあります。

Sansanでは、自社のサービスの導入メリットを顧客が感じていないことを課題にしていました。

そこでまずはサービスを利用してもらうことが重要であると考え、「クラウド名刺管理サービスの導入から定着まで」を軌道に乗せるために、機能や使い方をレクチャーしたり、実際にクラウド名刺管理サービスを利用して成功体験を創出してもらうための計画をしたりするなど、導入支援に力を注ぎました。

その結果、現在ではクラウド名刺管理サービス「Sansan」の解約率は0.6%と業界トップクラスの低解約率となっており、売上は向上しています。

5-2.ラクサス・テクノロジー社の成功事例

ラクサス・テクノロジー社は、およそ4万点ものハイブランドバックを月額6,800円で使い放題としたサブスクリプション型のレンタルサービスです。

ラクサスでは継続率を上昇させることで売上向上をねらえることから、顧客のフェーズを「導入期」「定着期」「成熟期」の3つに分け、以下のようなカスタマーサクセスの施策を行いました。

▼フェーズ別のカスタマーサクセスの取り組み

導入期

顧客の成功を「自分にマッチするバッグをレンタルする」と定義。そのうえで以下の施策に取り組んだ。

・「どうせなら高価なバッグを借りたい」と顧客心理が働き、ミスマッチが起こりがちであったため、価格で判断しないで、デザインだけで判断できるようにブランドバックの実売価格掲載を停止した
・すべてのバッグにコーディネートを載せ、自分の普段の好みと似たコーディネートを参考にしてバッグを選べるようにし、イメージと実物のギャップを小さくした

定着期

顧客の成功を「新しいバッグに交換している期間も手元にブランドバッグがあること」と定義。そのうえで、以下の施策に取り組んだ。

・1ヶ月に2つのバッグが借りられる通常価格の2倍のダブルプランを提案
・ダブルプランを半額で利用できる3ヶ月のキャンペーンを実施

成熟期

顧客の成功を「自分の所有しているカバンをレンタルに出して収入を得る」「レンタルして気に入ったバッグを購入して自分の所有物にする」と定義。そのうえで、以下の施策に取り組んだ。

・顧客が使わないバッグをラクサスに預けると、ラクサスがレンタル商品として掲載。バッグが貸し出されると貸し出し日数に応じて収入を得られるようにした
・レンタル商品を購入できるようにした

その結果、会員の平均継続率95%という高い成果を出しています。
カスタマーサクセスの取り組みにおいて、顧客を3つのフェーズに分け、それぞれの「顧客の成功」を定義づけして、施策を実行したことが功を奏したのです。

5-3. さくらインターネット株式会社の成功事例

インターネット関連サービスを提供するさくらインターネット株式会社は、コンタクトセンターに先進的なチャネルや機能を導入し、顧客とのコミュニケーションの質向上に努めています。

ITサービス企業が直面する主要な課題の一つは、急速に進化するテクノロジーにより顧客が「取り残される」ことを防ぐことです。

そのためには、新たなサービスやソリューションを顧客に理解してもらい、不安や不満を解消することが重要です。この役割を担うのがさくらインターネット株式会社のコンタクトセンター(コールセンター)です。

経営層がカスタマーサクセスに取り組むという方針を明確に打ち出し、セールスフォースの機能を活用してVOCを記録し、それを内容ごとに分類し、コンタクトセンターの業務改善に役立てたり、プロダクトチームと情報を共有してプロダクトの改良につなげたりするフローを確立されています。

詳しくはこちらの企業対談をご覧ください。

まとめ

この記事では、カスタマーサクセスの基本知識と成功させるための基本原則について解説しました。
ここで改めて本記事のおさらいをしましょう。

◆カスタマーサクセスとは顧客の成功体験を支援する取り組みのこと

◆カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセス

カスタマーサポート

目的・ミッション

根本的な問題解決をして顧客ロイヤルティを向上させる

問い合せのあった疑問や課題を解決して顧客満足度を向上させる

取り組む姿勢

能動的
営業的にアプローチ

受動的
問い合せ対応

関与する期間

中長期的・連続的

短期的・断続的

成果指標

顧客継続率
商品・サービスの使用頻度
(成功重視型)

顧客への返信時間
対応回数
(効率重視型)

◆カスタマーサクセスが注目される背景は「ビジネスモデルの変化」にある

◆カスタマーサクセスの4つのメリット

・解約率を低減できる
・LTVを向上できる
・商品・サービス改善のためのフィードバックを獲得できる

・顧客満足度の向上につながる

◆カスタマーサクセスのデメリット

・人的リソースやコストをかけても思ったような結果が得られない可能性がある

トランスコスモスでは、企業のカスタマーサポートをカスタマーサクセスへの変化を支援するために、各社個別の相談をお受けしています。ご興味のある方は以下よりご連絡ください。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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