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タッチ決済の普及率は世界一!オーストラリアのキャッシュレス事情

オーストラリアでは、名物のフラットホワイトをカフェで頼むときも、人気のチョコ菓子Tim Tamをスーパーで買うときも、フェリーで通勤するときも、支払いは現金よりタッチ決済やモバイルウォレットが主流になっています。2022年の調査1では、対面でのカード決済(デビット+クレジット)のうち95%はタッチ決済でした。端末にカードを差し込み、PINを入力したりサインをしたりするといった決済方法はわずか5%にとどまっています。

この記事では、キャッシュレス化を加速させたタッチ決済がどのようにして広まったのか、また今では国民の7割が利用するモバイル決済が普及した背景に迫ります。

📝この記事のポイント

  • オーストラリアはタッチ決済の普及率が世界最高水準
  • スーパー・交通など日常利用頻度の高い場面でキャッシュレス体験が根付いた
  • 現金利用は2007年の70%から2022年には13%まで急減し、カードが主流に
  • 交通系IC「Opal Card」とカードによるタッチ乗車が普及し、公共交通もキャッシュレス化
  • デジタル決済はBPAY、NPP、PayIDなど独自の仕組みで生活に密着
目次


キャッシュレス化を加速させた要因1:タッチ決済の広まり

タッチ決済といえば、2012年にVisaのタッチ決済がロンドン大会の会場で採用されたことを皮切りにイギリスで普及したことを知っている人も多いかもしれません。一方、イギリスの普及率(2018年7月時点で52%、Worldpay調べ2)を抜き、瞬く間にタッチ決済率を92%(2017年時点、Visa調べ3)まで伸ばしている国は、オーストラリアです。タッチ決済はどのようにしてオーストラリアで浸透したのでしょうか。

2大スーパーの導入

「Tap and Go(タップアンドゴー)」でも親しまれるタッチ決済を広く浸透させたきっかけは、オーストラリアの2大スーパー、Coles(コールズ)とWoolworths(ウールワース)での2011年の導入が挙げられるでしょう4。ここでは100豪ドル以下であれば、PINの入力もサインも不要。デビットカード、またはクレジットカードをかざすだけで決済が完了します。

多くの国民が立ち寄るスーパーに利便性の高いタッチ決済を導入し、着々と支持を得たことが利用者の増加につながったと考えられます。また、Mastercardが2017年に発表した調査5では国民の33%が「タッチ決済がないとイラついてしまう」と回答していることからも、タッチ決済が生活に定着している様子が伺えます。

移動もタッチ決済で

その後、さらにキャッシュレス化を促進させるうえでローンチされたのは、プリペイド式の交通系ICカード、Opal Card(オパール・カード)です。初めて導入されたのは2012年末で、ひどい渋滞が懸念される車通勤の代替手段である、フェリーでの使用から開始されました。その後、バスや電車などでの使用が可能となり、2016年にはOpal Cardの使用を促進するために紙の切符が廃止されています6

乗車時の支払い方法はその後も変化を見せており、2017年からはバスや電車、フェリーなどOpal Cardの使用範囲内で、デビットカードやクレジットカードを使用したタッチ決済での乗車が試験的に開始されました。2019年9月からは正式に使用が可能となっています7

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現金の使用率は激減

タッチ決済の普及を受け、オーストラリアでの現金使用率は2007年の約70%から、2022年には13%まで大幅に減少していることがReserve Bank of Australiaの調査8からわかっています。

🇦🇺消費者の支払い方法

現金 カード
2007 69% 26%
2010 62% 31%
2013 47% 43%
2016 37% 52%
2019 27% 63%
2022 13% 76%

上記の表はReserve Bank of Australiaの調査8から、現金とカードの割合を抜き出したものです。現金が大幅に減少する一方で、カード利用が一気に増えていることがわかります。

キャッシュレス化を加速させた要因2:デジタルペイメントの利用拡大

マーケティングリサーチ会社のRoy Morganが50,000人の国民を対象に行なった調査9によると、2017年12月から2018年11月の間でデジタルな決済手段を使用したのは72.4%。このようにデジタルペイメントの普及も、キャッシュレスを後押ししているといえるでしょう。

同調査によると、最も使用されていたのはインターネットバンキングによる決済(59.1%)で、PayPalやVisa Checkoutなどのオンライン決済サービスが43.9%で2番目に多い結果となりました。

インターネットバンキングには、代表的なものとして1997年にローンチされた「BPAY」があり、銀行口座を登録するとスマートフォンやタブレットなどの端末から支払いができるようになっています。たとえば水道代やガス料金、家賃、電話代、保険金など生活周りの支払いがBPAYを通じて行えるようになっています。Roy Morganの2022年の調査10によれば、国民の約43.8%がBPAYを利用しており、およそ930万人がこの決済手段を利用しているとされています。

また、2018年にはモバイル決済の利便性を高めることを目的に、13もの銀行と金融サービス提供者が手を組み、New Payments Platform(NPP)が設立されました。NPPとは、異なる金融機関を通じたリアルタイムでの決済取引を可能とするプラットフォームです。従来のように入金までのラグがなく、送金をしたその場で相手先の口座に入金されるシステムとなっています。

NPPを通じて、同年には「PayID」というサービスがローンチされています。PayIDは、覚えにくい銀行の口座番号の代わりに登録した電話番号、またはメールアドレスをインターネットバンキングのアプリに打ち込むだけで相手先に送金ができるシステムです。食事の割り勘など個人間での送金をはじめに、NPPをシステムに導入している事業者とであれば決済取引が可能です。

このようなサービスの誕生とは別にモバイル決済の利用率に貢献しているのは、オンラインショッピングの利用率増加でしょう。National Australia Bankの調べによると、オンラインショッピングの利用額が2016年の201豪億ドル11から2019年には293豪億ドル12まで、3年間で45%ほど増加していることがわかっています。

まとめ

オーストラリアではタッチ決済が広まったことにより、キャッシュレス決済が浸透したことがわかりました。オーストラリア以外にも、日本のキャッシュレス比率を超えるアメリカ、イギリス、中国、韓国でのキャッシュレス事情も掘り下げてきました。それぞれ異なるきっかけや国の施策をもとにキャッシュレスを浸透させています。気になる方はぜひ下記よりご覧ください。

(1) アメリカ
(2) イギリス
(3) 中国
(4) 韓国


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執筆は2019年10月11日時点の情報を参照しています。2025年9月2日に​記事の​一部情報を​更新しました。​当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。