目次

  1. みなし解散とは 10月10日に法務大臣が官報公告
  2. 2025年度のスケジュールと対象への通知
  3. 解散を回避するために期限までに取るべき行動
    1. 必要な登記(役員変更等)の申請
    2. 「まだ事業を廃止していない」旨の届出
  4. 登記懈怠の過料は「100万円以下」過料のリスク
  5. みなし解散後の継続手続き

 法務省の公式サイトによると、12年間登記をしていない株式会社や5年間登記をしていない一般社団法人・一般財団法人は解散したものとみなされます。これを「みなし解散」と呼びます。

 毎年10月ごろ、法務大臣による官報公告が行われ、休眠会社または休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。この公告から2ヵ月以内に役員変更等の必要な登記又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出がされないときには、実際には事業を継続していたとしても、みなし解散の登記がされることになります。

 1974~2024年の間に、約73万社の休眠会社と約1.4万法人の休眠法人が解散したものとみなされみなし解散の登記がされています。

 2025年度は10月10日(金)に、法務大臣が官報公告をしました。この公告は、休眠会社や休眠一般法人が事業を継続している場合、「まだ事業を廃止していない」旨の届出が必要であることを示します。

 同日付けで、管轄登記所は対象となる休眠会社・休眠一般法人に対し、法務大臣による官報公告が行われた旨を記した通知書を発送しました。通知書には手続きに関する詳細が記載されています。

 これらの対象会社等が、期限までに必要な登記申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行わなかった場合、2025年12月11日(木)付けで解散したものとみなされます。その結果、登記官が職権で解散の登記を行います。

 注意点として、最後の登記以降に登記事項証明書や印鑑証明書の交付請求を行っていても、みなし解散の対象であることに変わりはありません。

 休眠会社または休眠一般法人が事業を継続しており、みなし解散を回避したい場合、2025年12月10日(水)までに、必ず以下のいずれかの手続きを実施しなければなりません。

 取締役や理事の任期が満了している場合など、本来行うべき時期に怠っていた登記(役員変更など)を速やかに申請します。この必要な登記申請が期限までに完了すれば、みなし解散は回避されます。

 必要な登記申請を行わない場合、この届出を期限までに管轄登記所に提出する必要があります。この届出は、管轄登記所から送付された通知書の下段にある届出用紙を使用して提出できます。

 通知書が利用できない場合は、以下の記載をした書面を作成し、管轄の登記所に送付または持参する必要があります。

  • 株式会社なら商号及び本店並びに代表者の氏名及び住所、一般社団法人又は一般財団法人なら名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所
  • 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所
  • まだ事業を廃止していない旨
  • 届出の年月日
  • 登記所の表示

 「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合でも、必要な登記(役員変更等)の申請をしない限り、翌年度の「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となります。

 「まだ事業を廃止していない」旨の届出や必要な登記申請したとしても、本来申請すべき時期に登記を怠っていたという事実は解消されません。会社法等の規定により、登記を怠った代表者等は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。ただし、登記懈怠の期間にもよりますが、100万円の過料となるケースはほとんどありません。

 万が一、みなし解散の登記が職権で行われた後でも、会社・法人は事業を継続できる可能性があります。

 解散したものとみなされた会社・法人は、3年以内に限り、以下の特別決議によって会社・法人を継続できます。

  • 株式会社: 株主総会の特別決議
  • 一般社団法人・一般財団法人: 社員総会または評議員会の特別決議

 継続の決議を行った場合、その決議から2週間以内に継続の登記申請をする必要があります。