仕事を効率的に進めるにはどうすればいいか。業務改革などを手がける本山裕輔さんは「10分考えてわからないことを考え続けても時間の浪費に終わるので誰かに聞くのが早い。ただ、上司に相談に行って『もっと自分で考えろ』と突き返されないようにするには工夫が必要だ」という――。

※本稿は、本山裕輔『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ミーティング中のビジネスマン
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10分考えてわからなければ、人に聞いてしまう

仕事において最も重要なのは、一人で悩み続けることではありません。まず考えるべきは「この問題の答えを、もっと効率的に得る方法はないか」ということです。

自分の頭だけで一から考えて解決する。そんなアプローチが必要なのは、試験の場面だけでしょう。実際の仕事では、答えが手に入るルートがあるなら、迷わずそちらを選ぶべきです。

「自分の頭でゼロから考えることが大切だ」という声もよく聞かれますが、これは時間の浪費に他なりません。なぜなら、私たちは皆、天才ではないからです。

あなたがゼロから考えて10時間を要する問題は、おそらく過去に誰かが解決済みでしょう。

あるいは、その分野に詳しい人なら2時間程度で答えを導き出せるかもしれません。それなら、その優秀な人の「答案用紙」を見せてもらうほうが賢明です。

「参考になる資料を教えてください」
「○○さんでしたら、この仕事をどのように進めますか? どんな結論を出されますか?」

このように具体的に質問し、知見を共有してもらいましょう。

ただし、社会人として押さえておくべきマナーがあります。

「どう思いますか?」「どうすればいいですか?」といったオープンクエスチョンは避けるべきです。

必ず「私はこのように考えましたが、いかがでしょうか?」という形で、自分なりの見解を示してから意見を求めることが重要です。

困ったときには3段階のステップを

具体的に、自力での解決が困難そうな仕事に直面した際は、次の手順で進めることをお勧めします。

ステップ① まず10分間、自分なりに考えてみる
短時間でも構わないので、まずは自分の頭で整理してみましょう。この過程で、問題の輪郭が見えてきます。

ステップ② 生成AIを活用した壁打ち
ステップ①で得た考えをもとに、「私はこう思うのですが、どう思いますか?」と生成AIに投げかけてみます。いきなりAIに丸投げするよりも、自分なりの考えを持って臨むほうが、より有益な回答を得られるものです。

ステップ③ 上司や有識者への相談
ステップ②で得られた知見を整理し、「私(とAI)はこのように考えているのですが、いかがでしょうか?」と上司や専門家に相談します。

この3段階のプロセスを踏むことで、「もっと自分で考えなさい」と突き放されるリスクは大幅に軽減されるでしょう。何より、限られた時間の中で最大限の成果を上げることができるはずです。